PS3本体を買いました。 [ゲーム]
この前、テレビを売った金で、ようやく最近の潮流?であるBlu-rayを見たいがため、しかもわざわざ3D対応のテレビを買ったんだから、3DBlu-rayを観たいなと思いまして、PS3本体を買いました。
ほんとはね、モンスターハンターポータブル3rd HDverを買うつもりだったのよ。
だけどね、なんかネット経由のパーティプレイ、アドホックモードがバグだらけで欠陥品っていうじゃない!?
かなり購買意欲がかき消された中で、購入しに行きました。
しかも、Sofmapなんば店では、中古が売られていない、え、なんで?という光景。
そして、Sofmap天王寺店では、最安値が22,980円、安くないじゃないか。。。
しかし、ここで逆転勝利。
レジに持って行くと、今日は中古の日ということで、1,000円引き。
更に、値段設定が更新されてたとかで、3,000円引きの合計18,980円になりました♪♪♪
ほんとはね、モンスターハンターポータブル3rd HDverを買うつもりだったのよ。
だけどね、なんかネット経由のパーティプレイ、アドホックモードがバグだらけで欠陥品っていうじゃない!?
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しかも、Sofmapなんば店では、中古が売られていない、え、なんで?という光景。
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【PS3】 プレイステーション3本体(320GB)スカーレット・レッド CECH-3000BSR 2011年11月17日... |
タグ:PS3
もし俺がドラクエ3の勇者だったら [ゲーム]
3 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 03:20:59.75 ID:66/q449p0
という夢をみたのさ。
母「おきなさい。 起きなさい私の かわいい俺や……。」
俺「ん…。ってババぁ勝手に部屋入ってくんなっていってんだろうが!あ゛!?」
母「おはよう。もう朝ですよ。今日はとても大切な日。あなたが初めてお城に行く日だったでしょ」
俺「るっせ!いいからカーテン閉めろやババぁ!」
母「この日のためにお前を勇敢な男の子として育てたつもりです」
俺「聞けやこらババ……
母「ん?さあ、母さんについてらっしゃい」
俺「う、うん……」
4 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 03:22:03.74 ID:66/q449p0
母「そうそう、お隣のゆうちゃんも今日が出発の日だったのよ」
俺「あっそ。どうでもいいし」
母「昔はあんなに仲良かったのにねえ。二人でよく勇者ごっこなんかして。ゆうちゃん学校で成績トップだったんだってね。女の子にも人気だって。ゆうちゃんのお母さんに自慢されちゃったわよ。あーあ、私も息子自慢してみたいわ」
俺「…るせーよ」
隣のゆうすけとは幼馴染で小さいころはよく一緒に遊んでいた。
でも学校という評価の場で、俺とゆうすけに対する世間の評価は随分違った。
それからはお互いその評価に従うように生き、自然と俺とゆうすけは違う生き方をするようになった。
6 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 03:23:13.83 ID:66/q449p0
母「でもいいの、引きこもりだってなんだって。あんたが元気でいてくれたら、お母さんそれだけで嬉しいの。……あとついでに魔王を倒してくれたら」
俺「どっちメインだよ」
母「でもきっと大丈夫、だってあの人の子だもの」
俺「父さん…?魔王と戦っているときに火山に落ちて死んだんだよね…」
母「え?やだー、それはゆうちゃんのお父さんよ?」
俺「は?」
母「あなたのお父さんはばくだんいわに……食べられたのよ」
俺「ばくだん!?…じゃあ俺勇者じゃないじゃん!?」
母「何いってんの、魔王を倒した人が勇者なのよ。まだチャンスがあるじゃない」
俺「うわ…、テンション下がった…」
このとき母親から親父の話をふってきたことに驚いた。
ウチでは親父のことは聞けない、聞いちゃいけないような空気だった。
そんな空気を知る前に一度だけ母親に親父のことを聞いたことがあった。
その時に聞いた話しがゆうすけの親父の話だった。
あのとき母親は、この話を俺の親父という設定で話していた。
この記憶は間違いじゃない。
その話しを聞いたの晩に初めて母親が泣いているのをみた。だから覚えている。
9 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 03:25:03.74 ID:66/q449p0
俺「てっきり父さんがすごい人だから俺もいつか本気になったらすごい才能が発揮されて、あれよあれよという間に立派な勇者になってチヤホヤされるんだと思ってたのに…」
母「まあなんて虫のいい…。すっかり二次元に毒されてしまって…。大丈夫、お父さんばくだんいわに食べられたけどすごい人だったんだから。だって独りでガザーブの東の方まで行ったのよ!」
俺「でもなんで独りで行ったの?」
母「そりゃあなたのお父さんだもの。お友達がいなかったのよ…」
俺「…ああ」
母「でもあなたは大丈夫!今はルイーダの職業安定所ができたから、そこで旅の仲間を見つければいいわ。王様に会ったら必ず行くのよ?」
俺「だりぃ…」
10 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 03:27:32.49 ID:66/q449p0
そうして俺は母親と別れ、王様に旅立ちの挨拶すませた。
俺「まさか挨拶するだけで50Gももらえるとは…。おまけに武器と防具も!しかもタダで!…変装してもう一回行けばまたもらえるんじゃね?」
もちろん俺にそんな度胸はない。
アリアハンも勇者を募集した当初は50Gどころではなく5000Gを与えていたようだ。
だが魔王を倒す気も無い連中が金目当てに自称勇者を名乗り城に殺到した。
そこで城は、金を受け取ったらアリアハンから出て行くことを法律で決めた。
しかしそれによりレーベの村からクレームが来ることになった。
金を貰ってアリアハンから出ていった連中がみんなレーベの村に移住したのだった。
そんなセコイまねをするようなガラの悪い連中が村に住むのをレーベの人々も快く思わなかったようだ。
しかたなく城は、魔王討伐を名乗り出るものに与える金を50Gという必要最低限の価格とし、アリアハンから旅立たなければならないという法律はそのままとして、真の志願者を募ることにした。
そんなはした金でアリアハンを出て行こうなどと思う連中はいなくなった。
それもそのはず。今や得られるのは勇者になりますという肩書きだけだ。色んなものを犠牲にして。
この話しを知ったのは随分後になってからだ。
真面目な弱者は損をする。
俺が世界を旅して見たものはどこも同じだ。
11 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 03:29:44.59 ID:66/q449p0
俺「ここがルイーダの職安だったんかい。俺んちの目の前じゃんwww働く気なかったから知らなかったっていうwww」
俺「……」
俺「やっぱやめよかな。そもそも俺に魔王とか倒せるかっつーのw」
俺「でも旅立つっていう約束で今までニートでも許してくれてたからな。今更帰るわけにもいかないしなあ。超だりいわ」
!!!
俺「あ、そうだ!ちょっとその辺を旅してちょっと怪我してやっぱり無理でしたって言えばいいじゃん!それなら約束守ったことになるし、帰っても仕方ない理由もあるし、それでいいじゃん俺天才じゃんwww」
このとき俺がこんな考えを持たなければ、今でも母親と普通の親子でいられたのだろうか。
いや、俺が気づかないでいただけでこのときから既に事実は普通ではなかったのだ。
事実を知らないままのんきに生きるか、事実を知って向き合って生きるか。
どっちがいいのかな?と聞かれることがある。
でも本人にその二つを選ぶ自由は無い。
ある日ふいに事実を突きつけられるだけなんだ。
12 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 03:31:03.16 ID:66/q449p0
ルイーダ「ここはルイーダの店。 旅人たちが仲間を もとめて集まる出会いと別れの酒場よ」
俺「…ぇっ…ぁ…」
ルイーダ「え?」
俺「ぁの…仲間を…」
ルイーダ「ああ、仲間を募集したいのね。どんな人がご希望かしら?」
俺「え…?いや…とくに…」
ルイーダ「とくにって、仲間が欲しいんじゃないの?」
俺「はぁ…まぁ…」
ルイーダ「…。えっと、じゃあ旅の目的を教えてもらえる?商売の旅?それとも大道芸の旅?」
俺「いや…、まおぅ…を、その…」
ルイーダ「まおぅ?」
俺「はい…魔王」
ルイーダ「え!?魔王!?もしかして勇者志望!?」
俺「……まぁ」
13 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 03:32:21.49 ID:66/q449p0
ルイーダ「そっか。でも、うーん、ちょっと待っててね」
俺「……(くそ!!ビッチが!!絶対今馬鹿にしただろ!!ふざけんな!俺だっていきたくねえし!!つーか俺客だし!!しねしねしねねしねしねしねしねしね!!!!!!)」
ルイーダ「お待たせー。一応確認なんだけど、予約とかしてないわよね?」
俺「予約?」
ルイーダ「そう予約。もう魔王討伐のおふれがでて随分経つから、それ用の職業の人はもう殆ど残ってないの。予約してくれてたら旅立ちの日に合わせて人を集めることもできたんだけど」
俺「予約…してません」
ルイーダ「そうよね、今日は午前中に来た彼の予約しか入ってなかったし。今いる人でよければすぐに紹介できるけど、…どうする?」
俺「ど…どんな人ですか?」
ルイーダ「えっと…。さすがにこの時期じゃ戦士とか魔法使いみたいな人気職はいないけど、まあその道のプロ?旅にはぴったり?そんな人なら…(チラ)」
俺「はあ…じゃあお願いします」
ルイーダ「(よっしゃ!)じゃあ今つれてくるわね!!」
14 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 03:33:26.98 ID:66/q449p0
ドキドキ…
ルイーダ「おまたせー☆あなたすっごくラッキーよ!魔王討伐には欠かせない僧侶が丁度今一人だけ空いてたの!」
俺「はあ…」
ルイーダ「僧侶さ~ん、勇者さんがお呼びよ~」
僧「……チェンジ」
俺・ルイーダ「!!!!」
僧「こんなクソガリ天パ小僧が魔王討伐だと?ルイーダさんよぉ、あんたいくら客商売だからってここまで無責任なことするか?無理に決まってんだろこんな腐ったししゃもみたいなやつに」
俺「え……」
ルイーダ「ちょっとあんたこっち来なさい!!」
僧「離せメス豚」
俺(なんかゲボ吐きそう…)
15 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 03:34:43.77 ID:66/q449p0
ルイーダ「あんたそんな悪態ばっかついてるから僧侶のくせに半年も売れ残ってんのよ!」
俺(半年って…今丁度いるんじゃなかったのかよ)
僧「死ね」
ルイーダ「死ねじゃないわよ!言っとくけど魔王討伐の志願者なんてもういないからね!こんな時期に予約もなしに来る人なんて奇跡よ!異常よ!」
俺(異常って言われた…)
僧「だまれ。なら予約されるのを待つ」
ルイーダ「無理でしょ!あんたまだホイミ使えないんだから!そんな僧侶が予約されるわけないでしょ!最初は飛び込みの客についていって、それで経験積んで実績残さないとだれもあんたを僧侶だなんて見てくれないわ!みんな最初はそうしてるの!」
僧「知らん、死ね」
ルイーダ「いい!?このチャンスを逃したらあんた二度と魔王討伐にいけないわよ?行きたいんでしょ?それで立派な僧侶になりたいんでしょ?」
僧「……」
ルイーダ「はい決まり!もう決まり!」
16 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 03:36:40.36 ID:66/q449p0
ルイーダ「お待たせ~♪喜んで行くって言ってるわ」
僧「くそが…」
俺(うわ…感じわるっ)
ルイーダ「あと二人連れていけるわね。どうする?っていってもウチにもあと二人しか残ってないんだけど」
俺「はぁ、じゃあその二人でいいです…」
ルイーダ「(よっしゃ!)そう?じゃあ呼ぶわね♪商人さ~ん勇者さんがお呼びよ~」
商「はーい!あら、随分若い勇者さんじゃない。よろしくね!」
俺(わ!すっごいブスだ!)
僧「…チェンジ」
俺・ルイーダ・商「!!!!!」
17 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 03:37:43.83 ID:66/q449p0
商「ちょっと!チェンジって何よ!私が何かしたわけ!?」
僧「だってブスだし。死ね」
商「は!?あんたが死になさいよ!大体私のどこがブスなのよ!!」
僧「眼がどくいもむしみたい。鼻もどくいもむし、口もどくいもむし。見てるだけで毒に侵されそうな顔だな」
俺(酷っ…でも確かに…)
商「ぐっ!!!い、言っておくけどね!これは私の本当の姿じゃないの」
僧「知ってる。本当はどくいもむしだろ」
商「(こいつ死ね!!)う、うふふ。そうじゃないの。これは魔王バラモスの呪いなのよ」
僧「へえ、魔王の呪いで人間の姿に変えられたんだ」
商「違うわよ!元々人間よ!っていうかどくいもむしから離れろ!(落ち着け落ち着け…)そう、信じてもらえないかもしれないけど本当の私はこんな顔じゃないの。でも…バラモスの呪いで今の顔に…。だから!バラモスを倒して本当の私に
僧「別にどうでもいい」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0034792E6/kanasoku-22/ref=nosim/
18 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 03:40:06.74 ID:66/q449p0
ルイーダ「えっと、そろそろ三人目を呼んでもいいかしら?」
俺「あ、はいお願いします(うわぁ商人の顔怖っ)」
ルイーダ「遊び人さ~ん、勇者さんがお呼びよ~」
僧「おいおい、商人に遊び人だと?まともなの俺だけじゃないか」
商「は?なんで商人がまともじゃないわけ?だいたいあんただってまともじゃないわよ!」
俺(俺は数に入ってないのかな…)
遊び人「おぎゃwwwwwwwwwww」
俺「えっと、こんにちは…」
遊び人「でゅくwwwwでゅくwwwwwww」
俺「え…?」
19 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 03:41:40.79 ID:66/q449p0
僧「おい、こいつ池ぬ
商「ちょっと!!やめなさいよまた!そういう芸風に決まってるでしょ!」
??「たかしちゃん!!よかったわね!!」
俺「たかしちゃん?」
ルイーダ「こちらはたかしちゃんのお母様よ」
たかし母「うちのたかしちゃんを雇ってくれてありがとうございます。ちょっと特別な考え方をする子ですが、素直で優しい子なんです。どうかよろしくお願いします」
商「特別な考え方って?」
ルイーダ「ああ、たかしちゃんはウチの障害者採用枠で入ってきたのよ」
たかし母「ちょっとあなた!!障害者なんて言わないで!ちょっと他の子と考えてることが違うだけであなた達となんの違いもないのよ!」
俺・商(本物だったー)
20 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 03:43:21.03 ID:66/q449p0
ルイーダ「どうする勇者さん?無理に連れていけとは言わないけど(しかしこの状況で断れまい、ふふふ)」
俺「どうって言われても…」
たかし母「どうかお願いします!」
僧「…別にいいだろ。遊び人なんてどうせ元々役に立たないんだし」
俺・商・ルイーダ「え!?」
たかし母「まあ!ありがとうございます!よかったわねたかしちゃん!お仕事決まったわよ!!」
遊「シュエエサイwwwwww」
商「え、本当に連れていくの?」
俺「いや、あの」
ルイーダ「これで旅の仲間がそろったわね!さあ魔王討伐の旅に張り切っていってらっしゃい!!ほらほら早く早く!魔王は待ってくれないわよ!」
俺「いや、ちょ」
たかし母「たかしちゃん!!気をつけるのよ!!」
遊「ターアイサイwwwwwwwwwww」
22 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 03:44:48.54 ID:66/q449p0
シーン……
俺(気まずいなあ…)
商「で、まずどこにいくの勇者?」
俺「え、えっと…(すぐ帰りたいし何も決めてないや)」
僧「どうせ何も考えてないんだろクズ」
俺「いや考えてるし!」
キャー!!
俺「!?」
遊「まおどこいるれすかwwww」
村女「何この人!ヨダレつけられたし!ありえないんですけどー」
商「ちょっとたかしちゃん、だめよ知らない人に話しかけたら。すみません」
遊「あじゃwwwまおのいえおしえてもらうのれすwww」
俺「あ、そうそう、だからまずは情報収集しないとね!」
僧「ふーん」
俺(いいよね?正解だよね?もうなんか胃が痛い…)
24 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 03:45:54.21 ID:66/q449p0
このときの俺が探したかった情報は魔王を倒すためのものではなく、旅を諦めてもいい言い訳だった。
出会った仲間が都合よくろくでもない者達だった、これなら仲間のせいにすることもできる。そう考えていた。
勇者様にもそんな時代があったんだね!
今ならそう言われることだろう。
でも俺は今も昔も変わっていない。
自分にとって大切なものを失わないためなら言い訳だってするし人のせいにだってする。
今になって違うとすれば、言い訳は納得の理由とされ、人のせいは正義の指摘とされることだ。今はそう言われる手段を持っているし方法も知っている。
このときの俺にとって失いたくなかった大切なものは希望だった。
自分もいつかちゃんとすれば周りから尊敬される人間になれる。そんな希望。
ちゃんとやっても駄目だったという事実を見たくなかった。希望を失うことになるから。
希望なしに生きるには人生はあまりにも辛過ぎる。
25 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 03:47:12.63 ID:66/q449p0
商「とりあえずこれで全員に話は聞いたわね」
俺「えっと、教会の男が言ってたアリアハンの外側の大陸に行くには」
商「街のおじいさんが言ってた封印された旅の扉に行けばいいのね」
俺「うん、それでその封印をとくためにまほうのたまが必要だって城のじいさんが言ってた」
商「まほうのたまはレーベの村の老人がつくっているって城の男の人が言ってたわ」
俺「じゃあレーベのそのじいさんのとこに行けばいいのか」
僧「アホか。これまで何人アリアハン大陸から出ていいていると思ってんだ。封印なんかとっくに解かれてるだろ」
商「うっさいわね!あんた聞き込みもしないでプラプラしてたくせに偉そうに!」
僧「黙れブス。少し考えれば子供でもわかる」
俺「あ、じゃあ…東の旅の扉に行きましょう…はい」
26 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 03:48:24.52 ID:66/q449p0
~アリアハン外~
俺「おー、初めて外に出た!すごい!広い!」
商「感動してる場合じゃないわよ、そこらじゅうに魔王の手先のモンスターがいるんだから。私達レベル1にとってはスライムだって
俺「あ!スライムだ!!いっぱいいる!きゃわいぃ~」
商「ちょっと!近づいたらだめだって!」
スライムAの攻撃!勇者は2のダメージをうけた!
俺「ふぐぅ!!」
商「ばか!何やってんの!みんな早くかまえるのよ!」
俺「無理…みぞおち入った…おげぇぇ」
遊「あうあうあーwwwww」
商人の攻撃!スライムAに5のダメージ。
商「ほら!僧侶も早く攻撃して!」
僧「は?俺僧侶だし」
商「いいから戦え!!」
28 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 03:49:41.61 ID:66/q449p0
スライムBの攻撃!商人は2のダメージをうけた!
スライムCの攻撃!商人は3のダメージをうけた!
商「はあ…はあ…。僧侶!ホイミ使って!」
僧「無理」
商「なんでよ!戦わないなら回復くらいしなさいよ!」
僧「いやホイミ覚えてないし」
商「は!?何でよ!僧侶ならレベル1で使えるでしょ!?」
僧「知らん」
スライムDの攻撃!勇者は3のダメージをうけた!
俺「うわああぁぁ」
ダダダダッ!
勇者は逃げ出した!
商「あ!ちょっと!」
僧「あーあ、逃げちゃったよ。それにたかしがカラスに食われてるぞ」
遊「おぎゃwwwおぎゃwww」
商「あーもう!逃げるわよ!!」
29 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 03:51:19.59 ID:66/q449p0
商「なんでホイミも使えないのに僧侶とか言ってんの?あんだけ偉そうなこと言っておいてあんた何もできないんじゃない!」
僧「だまれ豚」
商「だまるわけないでしょ!あんた何の為にいんのよ!」
僧「じゃあお前は何の為にいるんだ?攻撃だって戦士や武闘家以下で呪文も使えない商人さんよぉ」
商「そ、それは…お金とか必要だからじゃない!旅だってタダでできるわけじゃないんだから!」
僧「モンスター倒せば金は手に入る。商人がいる必要はない」
商「いた方がもっとお金が貰えるのよ!あ、それに道具の鑑定だってできるんだから!」
僧「別にいらんだろそんなもん」
商「呪文も使えない僧侶よりはましよ!!」
僧「ニフラムなら使える」
商「それこそいらないわよ!」
30 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 03:52:57.22 ID:66/q449p0
俺「あの、落ち着いてください…」
商「は!?何が落ち着いてよ!だいたいあんたも何で真っ先に逃げてるわけ?どうのつるぎ持ってるじゃない!なんで戦わないのよ!」
俺「だって…初めてだったし…いきなり攻撃されたし…」
商「モンスターなんだから攻撃してくるのは当たり前でしょ!仲間を置いて逃げるなんて勇者失格よ!」
俺「な、なんだよ!いきなり勇者になれるわけないだろ!初めてで何も知らないんだから!だからみんなを連れてきたのに!勇者を守るのが仕事だろ!失格なのはそっちじゃないか!」
商「何が失格なわけ?私はちゃんと戦ったわ!あんたみたいに逃げたりしてないわ!」
俺「いや失格だね!勇者の仲間に商人なんて必要ないし!遊び人だってそうだ!それに回復できないなら僧侶連れてる意味だってない!ちゃんとした戦士や魔法使いがいないと無理に決まってるじゃないか!」
商「最低…。じゃあ何で私達を連れてきたのよ!!」
俺「あんた達しか残ってなかったからだろ!役立たずだから残ってたんだろ!」
31 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 03:54:13.58 ID:66/q449p0
僧「じゃあお前は何ができるんだ」
俺「何もできないよ!今まで旅だってしたことないんだから!当たり前だろ!」
僧「何もできないなら偉そうなこと言うな」
俺「それはこっちのセリフだ!あんなに偉そうにしててホイミもできない僧侶なんて詐欺じゃないか!!僧侶失格だ!!」
僧「なんだと
遊「おぎゃwwからすきたれすwwww」
商「くっ、とりあえず逃げるわよ…」
32 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 03:55:25.72 ID:66/q449p0
それからは酷く険悪な旅だった。
そのとき俺はてっきりみんなアリアハンに戻るのだと思っていた。
だが違った。東へ向かったのだ。
俺の意思ではなかった。商人か僧侶か、それとも遊び人の意思だったのか。
お互いに誰とも口をきかず、モンスターが現れても誰も何も言わず無言で逃げた。
時々遊び人だけが何かを言っていたが、誰も反応すらしなかった。
そして俺達は旅の扉があると言われるいざないの洞窟へと向かった。
俺達の予想に反して洞窟の入り口は壁で封印されていた。
封印が解かれていると言い出した僧侶は無言だった。
商人も僧侶を責めることなく無言だった。
レーベに行こうと言い出したのは俺だった。
レーベに行けばまほうのたまが手に入るかもしれない。
その可能性がある限り旅を終えることができないからだ。
そう、あくまでも自分の意思ではなく、しかたなく旅を終えなければならなかった。
俺はまほうのたまが手に入らないことを願いながらレーベに向かった。
33 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 03:56:32.56 ID:66/q449p0
レーベのまほうのたまを作っている老人の家には鍵がかかっていた。
村人が言うにはその老人が家から出てくることは無いらしかった。
つまりこちらから家に入っていかなければ老人に会いまほうのたまを貰うことができない。
だが俺達にはこのドアを開けることができない。俺にはこれで十分だった。
俺「……開かないね。まほうのたま、もらえない」
商「……」
俺「しょうがないね。まほうのたまがないなら旅の扉にもいけない」
僧「……」
俺「……。しょうがないよ。……帰ろう」
商「……そうね」
遊「ナミwwナジwwバタwww」
俺「うんうん、帰るんだよたかしちゃん」
遊「カキwwwwトオソノwww」
俺「帰ろう、アリアハンに!」
34 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 03:57:44.76 ID:66/q449p0
このとき遊び人が言いたいことに俺は気づいていた。
アリアハンで情報を集めたときにナジミの塔にいる老人がバコタという盗人からとうぞくの鍵を奪っているという話を聞いていた。
その鍵があればこのドアを開けることができるのだろう。
商人はこのときその話を思い出さなかったようだ。
だから遊び人がその訴えをしているのを俺は商人が気づかせない必要があった。
俺は遊び人に寄り添ってアリアハンへと向かい、その後ろを少し離れて二人がついてきていた。
~アリアハン城下町~
俺「……じゃあ、ここで」
僧・商「……」
母「まあまあ!おそかったのねっ。でもぶじで本当によかったわ!さあ、もう
上にいってお休みなさい。お友達もご一緒に…さあさあ」
俺「あ、いや、母さん」
商「いや、私達もう」
母「いいのいいの、遠慮しないで。魔王を倒す旅をしてくれているんですもの、私にできることなんてみなさんの疲れを癒すことしかないんだから、ね?さあさあ」
35 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 03:58:49.97 ID:66/q449p0
半ば強引に母に招きいれられ、その晩はウチに泊まることになった。
僧侶も特に何も言わず泊まることにしたのが意外だったのを覚えている。
考えればわかることだ。
ルイーダの店でずっと余り物として過ごしてきた三人。やっと旅に出れたと思ったらたった一日で戻ってくるなんて、ルイーダさんに会わせる顔がないだろう。
ルイーダさんの顔色なんて気にしない僧侶ですらそのまま帰ろうとしなかったのは、それだけ旅にでることを夢み続けていたのだろう。
他の二人もきっと。
その時の俺には彼らの夢など知る由もなく、ましてや曲がりなりにも彼らに希望を与えていたことすら理解できていなかった。
36 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:00:08.75 ID:66/q449p0
母は嬉しそうに彼らに料理を食べさせ、街の外のことを質問し、それを楽しそうに聞いていた。
商人は大人らしく受け答えをし、僧侶は母の問いかけにハイかイイエで答えていた。
遊び人は楽しそうに食い散らかしており、母はそんな遊び人の食べかすを楽しそうに拭いていた。
そんな楽しそうな母を見て俺は旅を止めることを言いづらく感じていたのを覚えている。
その晩の遅く、一階に下りると母がまだキッチンに立っていた。
俺「…何してんの?」
母「ん~?お弁当を作ってるの。みなさんの分もね」
俺「いや…いいよ」
母「どうして?お腹すくでしょ?」
俺「いや、だから…もう旅にはいかないから」
38 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:01:12.59 ID:66/q449p0
母「ターキーのサンドウィッチにしようかと思うの。みなさん嫌いじゃないかしら」
俺「旅は駄目だったんだ。みんなで決めたんだ」
母「飲み物も付けましょうかね。コーヒーとお茶どっちがいいかしら」
俺「だから!もう旅には行かないんだって!弁当もいらないんだってば!」
39 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:02:42.36 ID:66/q449p0
母「……。……どうして?」
俺「母さんには話してもわかんないよ。とにかく駄目な理由があるんだ」
母「何で?言ってみて?どんな理由?」
俺「ドアが開かないの!まほうのたまを作ってる人の家の!まほうのたまがないと旅の扉にいけないの!」
母「ドアくらい開けてもらえばいいじゃない」
俺「何もわかってない!そんな簡単な話しじゃないんだよ!」
母「本当に行ったの?」
俺「は?行ったに決まってんじゃん!俺東の洞窟までいったし!すごい死にそうになりながら行ったし!」
母「…でも隣のゆうちゃんはもうよその大陸まで行ったって、さっきゆうちゃんのお母さんが言ってたわよ…」
俺「知らねえよゆうすけのことなんか!よそはよそって言ってたのはお前だろ!!」
40 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:03:53.98 ID:66/q449p0
母「もう一回いってみればいいじゃない…」
俺「は!?俺の話し聞いてる!?言ったよね?無理な理由言ったよね?わかんないの?あんたずっと家の中にしかいないからわかんないよね?外のこと何もしらないもんね!?」
母「でもまだわかんないじゃない…」
俺「なんなの?俺が帰ってくるのがそんなに嫌なわけ?死にそうになりながら行ったって言ったのにまた行けってなに?俺に死ねってこと?母親なら子供の心配するのが普通だろうが!!」
ガタンッ!!
母「うるさいうるさいうるさいうるさい!!!!!!!!!」
俺「は!?」
41 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:05:40.78 ID:66/q449p0
母「ほんとあんたってあの人そっくり。口ばっか偉そうでそのくせ何もしないで、気に入らないことは全部私のせいにして!
もううんざり!だいたいあんたが魔王を倒しに行くっていうからこれまで無職でも何も言わなかったんでしょ!!なのに帰ってきてどうすんのよ!」
俺「知らねえよ!無職だろうとなんだろうと子供の世話するのが親の責任だろうが!!」
母「そんな責任は子供が学校卒業するまでよ!!」
俺「んなわけねえだろ!!てめえが勝手に産んでおいて邪魔になったらあとは好きにしろだ?ふざけんなよ!!」
母「みんなそうしてんのよ!!私だっておじいちゃんだってそのおじいちゃんだってみんな当たり前にそうしてんのよ!大人になったら働くの!?当たり前でしょ!」
俺「お前らとは時代が違うだろうが!!旅に出て魔王を倒すか殺されて死ぬか、それとも外にも出られねえで街の中で西の壁から東の壁までウロウロするだけのクソみてえな人生かどっちかしか選べねえだろ!!
そんな時代にてめえの都合で産んでおいて死ぬかクソか選べってのかよ!!ふざけんな!!」
母「みんなそんなクソみたいな人生送ってるの!それが人生なの!あんたが思ってるほど楽じゃないの!!」
俺「は、それでクソみてえな人生送って何が幸せなわけ?父さんだってそんな人生で幸せだったなら旅に出てねえだろ!どうせあんたがクソみてえな生き方してるから父さんが出て行ったんだろ!」
パンッ!!
42 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:06:54.56 ID:66/q449p0
母「何も知らないくせに…。勝手なこと言わないで!!あんたの父親が出て行ったのは私のせいじゃない!みんな何も知らないくせに勝手なことばっかりいって!」
俺「…じゃあなんで出ていったんだよ!?」
母「変態だからよ!あんたの父親は変態なのよ!!」
俺「は!?」
母「あんたの父親はねえ!ばくだんいわと駆け落ちしたのよ!!」
俺「…は?」
母「街に来た大道芸のばくだんいわに恋して一緒に出て行ったのよ!!あいつは元々変態だったのよ!だから私は悪くない!!」
俺「…え?」
母「なのに私があいつを狂わせたとかばくだんいわに劣る女だとか、みんな勝手なことばっかり言って!だからあんたを勇者にして見返してやろうと思って今まで我慢してたのよ!!
世間の人にもあいつにも!!勇者の母親になって見返してやろうと思ってたのに!!なんで帰ってくるのよ!!」
俺「…し、知るかよ!!そんなのお前の都合だろ!俺には関係ねえだろ!!」
母「うるさいうるさいうるさい!!もう出て行いけ!!勇者にならないならあんたなんかいらないわよ!!」
俺「…こっちだってお前みたいな母親いらねえよ!!」
母「じゃあ出てけ!!」
俺「うっせーババア!言われなくても出てくわ!!!」
44 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:08:32.29 ID:66/q449p0
事実はこうだった。
俺の父親は確かにばくだんいわと駆け落ちした。それは母の言うとおりだった。
父親は元々モンスターも愛せる人間だったのだ。それも母の言うとおりだった。
だが、父親はモンスターしか愛せないわけではなかった。
人間を好きになることももちろんあった。母とも初めはお互いに想いあっていたのだろう。
だが、二人の間に溝ができた。それは父がばくだんいわに出会ったからじゃない。
父は溝ができた後にばくだんいわに出会ったのだ。そして恋に落ちた。
俺は父のことを恨んではいない。
むしろ羨ましく思う。俺や母を捨てて世界中から否定されそうなことをした父だが、それほどまでに得たいと思うものを知ったのだから。
それを知ることができたのは父だからだろう。
父は昔から世間の冷たい視線を浴びながらもモンスターを愛する自分を否定しなかったらしい。
どんな自分の心の声にも耳を塞がないで聞き続ける、そんな父だからこそそれに出会えたときすぐに気づけたのだろう。自分にとって大切なものだと。
45 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:09:52.63 ID:66/q449p0
母のことも恨んではいない。
でも俺はあの日からしばらくは母を恨んで生きた。
母に捨て台詞を吐いた俺は着の身着のまま家を飛び出した。そして泣いた。
色んな感情が次々溢れてきて止まらなかった。
怒りに憎しみに悔しさ、そして悲しみ。
後になって気づいたが、俺は母のことをちゃんと好きだったようだ。
好きな人に自分の気持ちを理解してもらえない辛さ、もどかしさ、悔しさ。
この人だけはわかってくれるという期待が意に反したときの衝撃。
もちろん自分の気持ちなんて、相手に伝わる形で表現しないと理解されることはない。
そのときの俺には知らないことだった。
なぜなら、それまで自分の気持ちを人に伝えるという行為をしてこなかったからだ。
世間で俺という人間を評価をされる内に、自分の気持ちは人に受け入れられない否定されるもの、そう思っていた。
でもあのときの俺は、心のどこかで母だけは最後まで自分の味方でいてくれると思っていたようだ。
だからどんな言葉を使ってもわかってくれると、受け止めてくれると思っていた。
しかしあのときの母にはそんな余裕はなかった。母も溢れていたのだ。
だから、俺が溜めに溜めてきって表現したその感情の真意など理解できるはずがなかった。
もちろん言っていた俺も自分が何を訴えたいのかをあのときは理解していなかった。
お互いが相手に自分でも理解していないものを理解してもらおうとするだけで、自分が相手を理解しようとはしなかった。
親子だから、当たり前に理解してくれる、そう思っていた。
46 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:11:01.56 ID:66/q449p0
家の外で泣いていると僧侶と商人と遊び人が出てきた。荷物を持っていることからどうやら状況を察しているようだった。
俺はなけなしのプライドで母との会話の内容が聞かれていないことを願ったが、僧侶の一言で見栄を張る必要が無いことを知った。
僧「よお、ばくだんジュニア」
俺「ひっく……聞いてたんですか」
僧「あんだけ大声で話してたら嫌でも聞こえるだろ」
俺「…それで、バカにしに来たんですか」
僧「バカにするほどお前に興味ねえよ。俺たちはルイーダの店に戻ることにした。じゃあな。いくぞたかし」
遊「おぎゃ……」
俺「……」
商「あの…、大丈夫?」
俺「…ほっといてください」
僧「そんなクズほっとけよ」
商「……」
三人はルイーダの店に戻っていった。
47 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:12:05.84 ID:66/q449p0
どうして商人はあのとき俺に声をかけてくれたのか。
そのときの俺は偽善、弱者への哀れみ、見下しだろうと考えていた。
商人だって聖母ではない。それらの感情を元に動くこともあるだろう。
しかしあのときの商人を動かしていたのは哀れみでも見下しでもなく、共感だった。
俺はその夜から街の宿屋に泊まった。
王様からもらった50Gがあった。
アリアハンの宿屋は一人2Gなので、一ヶ月は泊まることができる。
この50Gを貰ったからにはアリアハンを出て行かなければならない。
俺の予定ではちょっと旅をして家に帰り、母親が王様を説得してくれるはずだった。
一度旅に出たものの、怪我や病気で旅を中断せざるを得なくなり、帰国を許されている者が何人かいた。
俺もその一人になる予定だった。
いっそ外で大怪我をして母を後悔させてやろうかとも考えた。
自分を否定した母が自責の念にかられることを何度も妄想した。
しようと思ってしたわけではない。しなければ自我を維持できなかったのだ。
金が無くなれば宿屋どころかアリアハンから出て行かなければならない。
そうすれば野垂れ死にするのは確実だ。だがそれでもいいと思った。
そうすれば母が後悔すると思ったから。
宿屋に泊まってからそんなことばかりを考えていた一週間目の晩、宿屋に商人が尋ねてきた。
48 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:13:09.83 ID:66/q449p0
俺「なにしに来たんですか」
商「いや…、これからどうするのかなって…」
俺「どうって、何が?」
商「アリアハンから出て行かないといけないんでしょ?」
俺「どうでもいいですよ…」
商「どうでもいいって、だってお金なくなったr
俺「そんなことどうでもいいって言ってんだろ!!だいたい何しに来たんだよ!!どうせ見下しに来たんだろ!!!」
商「は、ちょっと何いって
俺「図星だろ!自分より惨めな奴を見つけて嬉しいんだろ!!そりゃそうだよな!そんな化け物みたいな顔な上に役立たずの商人だもんな!!自分より下のやつを見つけて嬉しくてたまんないんだろ!!そうなんだ
バッキィィィ!!!
俺「ふぎゃ!!」
商「はあ…はあ…。あんたねえ…いい加減にしなさいよ…。本当なら…今この場であんたのこと殺してやりたいわ…」
49 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:14:31.89 ID:66/q449p0
俺「じゃ…じゃあ殺してみろよ!!」
商「私はあんたを殺しはしない。……ちょっと外にでましょ。こんなとこで大声だしたら周りに迷惑だわ」
俺は黙って商人の後をついて行った。
アリアハン城下町の南東部分の空き地にある井戸に商人は腰掛けた。俺はそばに立っていた。
商「……」
俺「…で、何なんですか」
商「さっきも言ったけど、私は今あんたのことが死ぬほど憎いわ」
俺「はん、それを言うためにここに来たんですか」
商「違う。……あんたねえ、ちょっと甘え過ぎよ」
俺「でたよ、どいつもこいつも二言目には甘え甘えってバカの一つ覚えのように。仮に甘えだとして何が悪い?どうせ自分が甘えられないから甘えてる奴が気に入らないだけだろ!自分と同じ苦しみを味わわせないと気がすまないんだろ!」
商「そうよ」
50 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:15:41.33 ID:66/q449p0
俺「は…、ほら。やっぱりそうじゃないか。そんな醜い人間が偉そうに人に説教かよ」
商「そうね。あんたの言うとおり私は醜い人間よ。さっき言ったように人を憎むし殺したいとも思う。妬んだり僻んだり見下したり、本当に醜い人間よ」
俺「……」
商「でもね、それはあんたも同じでしょ。いや、あんただけじゃない、人間ならみんなそう。醜いの」
俺「……だからなんだよ」
商「私がなんであんたに甘えてるっていったかわかる?」
俺「知るかよ。俺が気に入らないからだろ」
商「まあね。でも私が聞いたのは、あんたのどこが甘えてると思って私が言ったかってこと」
俺「知らねえよ。そっちが勝手に俺が甘えてるって思いたいだけだろ」
商「あっそう。わかった。じゃあ甘えてるって言葉は取り消すわ。でもあんたが今やってることは赤ん坊と一緒だってことわかってる?」
俺「は?どこがだよ!?」
51 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:16:42.61 ID:66/q449p0
商「赤ん坊は自分の欲望を叶えるために周りを使うの。泣いて叫んでね。そうすれば周りが食事を与えてくれるし自分を楽しませてくれる、何でも周りがしてくれる」
俺「……」
商「あんたがやってるのはそれと同じなの。自分からは動かないし何もしない、周りがあんたの欲望を叶えることを期待するだけ。叶えてくれない人は否定して拒絶する。でも誰もあんたのことを赤ん坊のように可愛がってはくれない。泣いて叫んでも何もしてくれない」
俺「そんなこと……」
商「そんなことなに?そんなことないって?そうでしょ!あんたがお母さんと言い争ってるの聞いてどんな人間かすぐにわかったわ!」
俺「ふ…ふざけんな!お前に俺の何がわかるんだよ!!」
商「わかるわよ!!」
俺「いーやわかってないね!」
商「わかるの!私もあんたと同じだからよ!!」
53 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:17:50.41 ID:66/q449p0
俺「は…?なにそれ、お前と一緒にするな」
俺の言葉には反応せず、商人は俯いた口を閉ざした。
俺はどうしていいかわからずに商人が何か言うのをただ待っていた。
声を荒げた言い争いの空気が薄くなってきたころに商人は再び口を開いた。
商「……あのね、私昔好きな人がいたの」
55 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:19:08.20 ID:66/q449p0
俺「……」
商「生まれて初めて好きになった人。ちょうどみんなが異性のことを気にし始める歳のころにね」
俺「……」
商「ほら、私って、か…顔がこんなじゃない?だからみんなが男の子のことでキャーキャー言い始めたころも自分には関係のことだって諦めてたの。学校でも誰にも相手にされなくて、友達もいなかった。
私みたいに孤立した子は他にもいたけど、その子達と一緒にいるのが惨めな気がして結局いつも一人。変なプライドがあったのねきっと」
俺「……」
商「でもね、そんな私にも話しかけてくれる男の子がいたの。その人はみんなの人気者で男の子からも女の子からも好かれてた。その人の周りにはいつも人がいるから、その人が私に話しかけてくれるときだけはみんなも私と話してくれた」
俺「……」
商「ふふ、思い出してみるとあのときの私って簡単な女よね、話しかけてくれただけで好きになるんだから。でもね、そのころ私の見た目に関係なく接してくれる人なんてお父さんとその人だけだった。それがすごく嬉しかったの」
56 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:20:09.60 ID:66/q449p0
商「それでね、ある日その男の子の誕生日パーティーに招待されたの。教室のみんなを招待したいからよかったら私も来ないかって。生まれて初めて招待されて、嬉しかった。……でも怖かった」
俺「……」
商「みんなきっと綺麗な格好でくると思った。私はそれまでオシャレなんてしたことなかったから、どんな格好していったらいいかわからなかった。でも好きな人が誘ってくれたんだから、私はどうしても行きたかったの」
俺「うん……」
商「相談できるような友達もいないし家族もお父さんしかいなかった。お父さんにドレスを買って欲しいなんて恥ずかしくて言えなかった。だから自分で作ることにしたの」
俺「……」
商「といってもドレスなんて簡単にできるわけないし、デザインだってわからないからメチャクチャなものを作ってたの。そしたらね、それをお父さんに見られちゃったのよ」
57 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:21:12.46 ID:66/q449p0
商「それでお父さんが、何作ってるんだ?って聞いてきたんだけど、私一人で焦っちゃって、友達の誕生日会に呼ばれたから服作ってたんだけどなんかうまくできないからやっぱり行くのやーめた!なんて変な答え方しちゃったのよね」
俺「うん……」
商「そうしたらお父さん、ふーんって、それ以上何も聞かなかった。私もそこでもういいやって思った。行くの止めようって思った。そしたら次の日にね、お父さんが、これ誕生日会に着ていったらどうだって、私の部屋にドレスを持ってきたの」
俺「うん」
商「これどうしたの?って聞いたら、お母さんが昔着てたドレスだって。お母さんは私が小さいころに亡くなったんだけど、お母さんの服とかアクセサリーとか、いつか私が使うんじゃないかと思ってお父さんとっておいたんだって」
58 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:22:26.42 ID:66/q449p0
商「私オシャレのことは全然わからなかったけど、すごく素敵なドレスだと思った。お姫様が着てるみたいなドレスだなって。だから、それを着て誕生日会に行こうと思ったの」
俺「うん」
商「当日まで何度も袖を通して鏡の前に立ったわ。いつもの自分じゃないみたいですごくワクワクした。それにお母さんのドレスを着れるのが嬉しかった」
俺「うん…」
商「それで誕生日会の日にドレスを着て出かけようと思ったら、お父さんが写真を撮りたいって言うの。恥ずかしかったけどお父さんも嬉しそうだったから、照れながらカメラの前に立ったの。そしたらお父さん、本当のお姫様みたいだねって」
俺「うん」
商「本当にその時はお姫様みたいな気分だった。好きな人に見てもらいたかった。それですごく楽しみにして誕生日会の会場に行ったの。そうしたら、他の女の子達は私のドレスとちょっと違ってた」
59 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:23:45.87 ID:66/q449p0
商「みんなが着てるのはシンプルで肩とか出して大人っぽいドレスだったの。私のはゴテゴテしてて派手なドレスだった。ちょっと私の格好おかしいのかなって不安になったわ。でもとりあえず好きな人に見てもらいたくて彼に近づいたの」
俺「……うん」
商「私が近づくと彼は気づいてくれて、わぁ今日はいつもと違うね!って言ってくれた。彼の周りには他の女の子も沢山いて、私の格好を見てビックリしてた」
俺「…うん」
商「女の子達が、すごいドレスだねーとか、なんかすごいねーって言ってくれて、私は褒めてくれてるんだと思ってた」
俺「……」
商「でもね、女の子の一人が私のドレスを見てこういったの。あ!わかった!何かっぽいと思ったら20年前って感じ!?」
60 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:24:54.19 ID:66/q449p0
商「それを聞いた他の子達は大笑いよ。あー!確かにww、っぽいっぽいww、言っちゃったよーwww、私も思ってたーwww。それを聞いて彼も一緒に笑ってた」
俺「……」
商「頭が真っ白になったわ。女の子の一人が、ねえそれどこで買ったのwww店でそんなの売ってなくねwwwって言うから、つい近所のおばあさんに貰ったってウソついちゃった」
俺「……うん」
商「だからだよーwwwちょーうけるしwwwって言われて、私も強がって、あやっぱりーwwあのおばあさん変な服しか持ってないんだよねwwでも買うのももったいないしまあこれでいっかってwww…そんなこと言った」
俺「……」
商「それから私は道化に徹したわ。みんなも馬鹿にしても平気なんだって思ったのか、私を見て誰が一番面白いこと言えるか競い合ってるような雰囲気だった」
61 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:26:07.25 ID:66/q449p0
商「帰り道ずっと泣いてた。行くんじゃなかったって後悔した」
俺「…うん」
商「家に帰るとお父さんが嬉しそうにどうだった?楽しかったか?って聞いてきたんだけど、疲れたから寝るねって直ぐに部屋に篭ったわ。部屋に入ると姿見にドレスを着た自分が映ってた。
その日さんざん笑われたドレス。わ…私、バカみたいだった。一人であんなに浮かれてオシャレした気になって…勘違いして…。すごく惨めだった…彼の前であんなに笑われて…。
自分が情けなかった…お母さんのドレスなのにウソついて…素敵だと思ったのに周りに合わせてダサいなんて言って…。お父さんが…せっかく用意してくれたのに………」
そう語る商人の目からは今にも涙が溢れそうだった。
商人がなぜこの話しをしたのか、俺にはわからなかった。
だが、奇しくもこの話しが俺の壁を壊すきっかけにはなった。
俺には商人の気持ちが理解できる理由があった。
62 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:27:20.57 ID:66/q449p0
あれは俺が10歳の頃だ。
学校の連中がアリアハン城の見学に行こうと話し合いをしていた。
その中の一人が、近くにいた俺に城に行ったことがあるかと聞いてきた。
俺は一度城に行ったことがあったので、城のことは知ってると伝えた。
すると連中は俺がいれば安心だなと言ってくれて盛り上がった。
アリアハン城見学ツアーの当日の朝、母に学校の連中と見学に言って来ると伝えるとサンドウィッチを作ってくれた。
俺の分だけじゃなく他の連中の分も。
俺が友達と出かけることなんて無かったから嬉しかったのだろう。
当日、俺は集合場所に時間ぴったりに到着した。
すでにみんな集まっていた。
俺が近づくと、おー、こんなとこで何してんだ?と聞かれた。
俺がよく理解していない顔をしていると、他の連中がヒソヒソ話しているのが聞こえた。
まさか誘われたと勘違いしたんじゃねww
俺は勘違いしていた。自分も見学に誘われたのだと。
慌てて俺は一人でたまたま遊びに来ただけだと伝えた。
多分勘違いしたことはバレていただろう。
63 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:28:29.33 ID:66/q449p0
母に見学に行くと伝えた手前、すぐに帰るわけには行かなかった。
俺は街のベンチで夕方まで時間をつぶした。5人分のサンドウィッチを食べながら。
家に帰ると母親は嬉しそうに色々と質問をしてきた。
俺は必死にウソをついた。
そんなことがあった。
だから分かった。商人の惨めな気持ちも情けない気持ちも悔しい気持ちも。
そして商人が自分の口でその話しをする辛さも、そのときの気持ちを人に知られる恥ずかしさも俺には痛いほど理解できていた。
だから俺は商人に共感した。
64 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:29:42.57 ID:66/q449p0
共感することで俺は商人の苦しみを理解した。
それと同時に自分が商人に放った言葉の重さも理解した。
その理解は自責の念として俺の心に激しく突き刺さった。
その痛みに俺は泣いた。
商「…なんであんたが泣いてんのよ」
俺「だって…おれも…そういうのあったから…わかるから…うっ。おれ…商人にすごい酷いこと言った…ひっ」
商「…なによ、急に…」
俺「ごめん…なさい…ごめんなさい…ひっ」
商「……」
俺「ごめんなさい……」
商「……もういいわ」
65 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:31:10.16 ID:66/q449p0
俺はこのときは謝って許してもらえればれば商人に放った言葉が消えると思っていた。
だが相手が許すことと、相手の傷が癒えることは別だ。
相手に許しを請うとは、自分のことをこれから先恨まないでくださいとお願いすることだ。
許す側はそれに応えてしまうと二度と相手を責めることはできない。
後は一人静かに相手に与えられた傷の痛みと戦っていくのだ。
だから、俺はこのときまだ許されるべきではなかったのだ。
商人は俺が落ち着くのを待ってから続きを話してくれた。
69 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:32:20.65 ID:66/q449p0
商「それから私ね、悔しくて色んなことをがんばったの。でもがんばればがんばるほど裏目にでたわ。勉強を頑張ればブスなんだから成績くらいよくないとねって言われる。スタイルに気を使ってお洒落をすればいくら頑張ってもブスはブスだよねって言われる。
ブスなのにブスだからブスのくせに。私が何をしても世間はブスという評価しかない」
俺「……でも、ブスでも認められてる人もいるよ。あの女武闘家でこの間政治家に立候補もしてた人とか、だから商人だって」
商「そうね、よく言われたわ。ブスでも輝いて生きてる人はいるんだからお前はブスってことに甘えてるだけだって。周りはいつも勝手よ、堂々と生きようとするとブスのクセにって叩くくせに、謙虚になるとブスを言い訳に逃げてるだけだなんて」
商人の言うように彼女を外見だけで評価する人間がいたのは事実だろう。
だが彼女を外見だけで判断をせず、外見を理由に責めることをしない人間がいたのもまた事実だろう。
しかし彼女には前者が世間の全てだと感ていたようだ。
コンプレックスというものにはそう感じさせてしまう力がある。
70 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:34:10.03 ID:66/q449p0
商「だから私何もかも嫌になって、家に篭りっきりになったわ。何もしないでただずっと世間を恨だ。全部世間が悪いんだって言い聞かせながら。どんどん落ち込んでいった。自分が大嫌いになった。
それで…私はもう死のうと思ったわ。そう、それで、このときの私にあんたが似てるなって思ったのよ」
俺「…うーん」
商「自分が何をやっても否定されてどんどん自信なくして。世間で評価されている人を妬んで恨んで、どんどん自分が醜い人間になっていく気がした。
外見も駄目で何の才能もない上に内面までそうなってしまって。自分が死ぬか世界が滅ぶか、自分が救われるにはそのどちらしかないと思ってた」
俺「…あー」
80 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:46:35.75 ID:66/q449p0
俺「でも…俺何もできないし」
商「何もできないでいいの。必要なものは旅の中で覚えればいいんだから。それにどうせ出て行かないといけないんでしょ?」
俺「うん、そうだけど…」
商「私も出て行かないといけないし、多分あの二人もここには居られないんじゃないかな。みんな何もできないけど、一緒にレベル上げていけばいいじゃない」
俺「でも、みんな怒ってるし多分もう一緒に行ってくれないよ」
商「そんなもん謝れば大丈夫よ」
俺「でも……」
商「いいから、ルイーダの店に来るのよ?いいわね!もうそれしかないんだから」
そういって商人は帰っていった。
82 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:47:49.48 ID:66/q449p0
俺がこの後ルイーダの店にいくのに5日かかった。
店にいくと僧侶に「よお村人A」と言われた。
俺は三人に謝った。
また一緒に旅に出て欲しいと伝えた。
今更、自分が困ったからって、自分勝手、それくらい言われることを覚悟した。
でも誰もそんなことは言わなかった。
僧侶はしょうがねえなと言い、遊び人はニコニコしており、商人は嬉しそうだった。
ルイーダさんも大喜びしてくれた。
自分が思っていた結末と全く違っていた。
自分がしたことでこんなに喜んでもらえるのは生まれて初めてだった。
俺はまた泣いた。
今度は嬉しくて。
83 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:49:09.87 ID:66/q449p0
~その夜~
??「勇者さん…起きて…勇者さん…」
俺「…ん。ん?たかし…ちゃん?」
遊「勇者さんお願い、僕をガルナの塔へ連れていって」
俺「え?ガルナの塔?」
遊「うんそう。早くしないと僕消えちゃう」
俺「え?え?」
遊「勇者さん、お願い……あう…あうあwwおぎゃww」
俺「たかしちゃん?」
遊「うぃくwwうぃくwww」
俺「へ?」
http://kanasoku.blog82.fc2.com/blog-entry-18426.html
という夢をみたのさ。
母「おきなさい。 起きなさい私の かわいい俺や……。」
俺「ん…。ってババぁ勝手に部屋入ってくんなっていってんだろうが!あ゛!?」
母「おはよう。もう朝ですよ。今日はとても大切な日。あなたが初めてお城に行く日だったでしょ」
俺「るっせ!いいからカーテン閉めろやババぁ!」
母「この日のためにお前を勇敢な男の子として育てたつもりです」
俺「聞けやこらババ……
母「ん?さあ、母さんについてらっしゃい」
俺「う、うん……」
4 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 03:22:03.74 ID:66/q449p0
母「そうそう、お隣のゆうちゃんも今日が出発の日だったのよ」
俺「あっそ。どうでもいいし」
母「昔はあんなに仲良かったのにねえ。二人でよく勇者ごっこなんかして。ゆうちゃん学校で成績トップだったんだってね。女の子にも人気だって。ゆうちゃんのお母さんに自慢されちゃったわよ。あーあ、私も息子自慢してみたいわ」
俺「…るせーよ」
隣のゆうすけとは幼馴染で小さいころはよく一緒に遊んでいた。
でも学校という評価の場で、俺とゆうすけに対する世間の評価は随分違った。
それからはお互いその評価に従うように生き、自然と俺とゆうすけは違う生き方をするようになった。
6 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 03:23:13.83 ID:66/q449p0
母「でもいいの、引きこもりだってなんだって。あんたが元気でいてくれたら、お母さんそれだけで嬉しいの。……あとついでに魔王を倒してくれたら」
俺「どっちメインだよ」
母「でもきっと大丈夫、だってあの人の子だもの」
俺「父さん…?魔王と戦っているときに火山に落ちて死んだんだよね…」
母「え?やだー、それはゆうちゃんのお父さんよ?」
俺「は?」
母「あなたのお父さんはばくだんいわに……食べられたのよ」
俺「ばくだん!?…じゃあ俺勇者じゃないじゃん!?」
母「何いってんの、魔王を倒した人が勇者なのよ。まだチャンスがあるじゃない」
俺「うわ…、テンション下がった…」
このとき母親から親父の話をふってきたことに驚いた。
ウチでは親父のことは聞けない、聞いちゃいけないような空気だった。
そんな空気を知る前に一度だけ母親に親父のことを聞いたことがあった。
その時に聞いた話しがゆうすけの親父の話だった。
あのとき母親は、この話を俺の親父という設定で話していた。
この記憶は間違いじゃない。
その話しを聞いたの晩に初めて母親が泣いているのをみた。だから覚えている。
9 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 03:25:03.74 ID:66/q449p0
俺「てっきり父さんがすごい人だから俺もいつか本気になったらすごい才能が発揮されて、あれよあれよという間に立派な勇者になってチヤホヤされるんだと思ってたのに…」
母「まあなんて虫のいい…。すっかり二次元に毒されてしまって…。大丈夫、お父さんばくだんいわに食べられたけどすごい人だったんだから。だって独りでガザーブの東の方まで行ったのよ!」
俺「でもなんで独りで行ったの?」
母「そりゃあなたのお父さんだもの。お友達がいなかったのよ…」
俺「…ああ」
母「でもあなたは大丈夫!今はルイーダの職業安定所ができたから、そこで旅の仲間を見つければいいわ。王様に会ったら必ず行くのよ?」
俺「だりぃ…」
10 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 03:27:32.49 ID:66/q449p0
そうして俺は母親と別れ、王様に旅立ちの挨拶すませた。
俺「まさか挨拶するだけで50Gももらえるとは…。おまけに武器と防具も!しかもタダで!…変装してもう一回行けばまたもらえるんじゃね?」
もちろん俺にそんな度胸はない。
アリアハンも勇者を募集した当初は50Gどころではなく5000Gを与えていたようだ。
だが魔王を倒す気も無い連中が金目当てに自称勇者を名乗り城に殺到した。
そこで城は、金を受け取ったらアリアハンから出て行くことを法律で決めた。
しかしそれによりレーベの村からクレームが来ることになった。
金を貰ってアリアハンから出ていった連中がみんなレーベの村に移住したのだった。
そんなセコイまねをするようなガラの悪い連中が村に住むのをレーベの人々も快く思わなかったようだ。
しかたなく城は、魔王討伐を名乗り出るものに与える金を50Gという必要最低限の価格とし、アリアハンから旅立たなければならないという法律はそのままとして、真の志願者を募ることにした。
そんなはした金でアリアハンを出て行こうなどと思う連中はいなくなった。
それもそのはず。今や得られるのは勇者になりますという肩書きだけだ。色んなものを犠牲にして。
この話しを知ったのは随分後になってからだ。
真面目な弱者は損をする。
俺が世界を旅して見たものはどこも同じだ。
11 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 03:29:44.59 ID:66/q449p0
俺「ここがルイーダの職安だったんかい。俺んちの目の前じゃんwww働く気なかったから知らなかったっていうwww」
俺「……」
俺「やっぱやめよかな。そもそも俺に魔王とか倒せるかっつーのw」
俺「でも旅立つっていう約束で今までニートでも許してくれてたからな。今更帰るわけにもいかないしなあ。超だりいわ」
!!!
俺「あ、そうだ!ちょっとその辺を旅してちょっと怪我してやっぱり無理でしたって言えばいいじゃん!それなら約束守ったことになるし、帰っても仕方ない理由もあるし、それでいいじゃん俺天才じゃんwww」
このとき俺がこんな考えを持たなければ、今でも母親と普通の親子でいられたのだろうか。
いや、俺が気づかないでいただけでこのときから既に事実は普通ではなかったのだ。
事実を知らないままのんきに生きるか、事実を知って向き合って生きるか。
どっちがいいのかな?と聞かれることがある。
でも本人にその二つを選ぶ自由は無い。
ある日ふいに事実を突きつけられるだけなんだ。
12 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 03:31:03.16 ID:66/q449p0
ルイーダ「ここはルイーダの店。 旅人たちが仲間を もとめて集まる出会いと別れの酒場よ」
俺「…ぇっ…ぁ…」
ルイーダ「え?」
俺「ぁの…仲間を…」
ルイーダ「ああ、仲間を募集したいのね。どんな人がご希望かしら?」
俺「え…?いや…とくに…」
ルイーダ「とくにって、仲間が欲しいんじゃないの?」
俺「はぁ…まぁ…」
ルイーダ「…。えっと、じゃあ旅の目的を教えてもらえる?商売の旅?それとも大道芸の旅?」
俺「いや…、まおぅ…を、その…」
ルイーダ「まおぅ?」
俺「はい…魔王」
ルイーダ「え!?魔王!?もしかして勇者志望!?」
俺「……まぁ」
13 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 03:32:21.49 ID:66/q449p0
ルイーダ「そっか。でも、うーん、ちょっと待っててね」
俺「……(くそ!!ビッチが!!絶対今馬鹿にしただろ!!ふざけんな!俺だっていきたくねえし!!つーか俺客だし!!しねしねしねねしねしねしねしねしね!!!!!!)」
ルイーダ「お待たせー。一応確認なんだけど、予約とかしてないわよね?」
俺「予約?」
ルイーダ「そう予約。もう魔王討伐のおふれがでて随分経つから、それ用の職業の人はもう殆ど残ってないの。予約してくれてたら旅立ちの日に合わせて人を集めることもできたんだけど」
俺「予約…してません」
ルイーダ「そうよね、今日は午前中に来た彼の予約しか入ってなかったし。今いる人でよければすぐに紹介できるけど、…どうする?」
俺「ど…どんな人ですか?」
ルイーダ「えっと…。さすがにこの時期じゃ戦士とか魔法使いみたいな人気職はいないけど、まあその道のプロ?旅にはぴったり?そんな人なら…(チラ)」
俺「はあ…じゃあお願いします」
ルイーダ「(よっしゃ!)じゃあ今つれてくるわね!!」
14 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 03:33:26.98 ID:66/q449p0
ドキドキ…
ルイーダ「おまたせー☆あなたすっごくラッキーよ!魔王討伐には欠かせない僧侶が丁度今一人だけ空いてたの!」
俺「はあ…」
ルイーダ「僧侶さ~ん、勇者さんがお呼びよ~」
僧「……チェンジ」
俺・ルイーダ「!!!!」
僧「こんなクソガリ天パ小僧が魔王討伐だと?ルイーダさんよぉ、あんたいくら客商売だからってここまで無責任なことするか?無理に決まってんだろこんな腐ったししゃもみたいなやつに」
俺「え……」
ルイーダ「ちょっとあんたこっち来なさい!!」
僧「離せメス豚」
俺(なんかゲボ吐きそう…)
15 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 03:34:43.77 ID:66/q449p0
ルイーダ「あんたそんな悪態ばっかついてるから僧侶のくせに半年も売れ残ってんのよ!」
俺(半年って…今丁度いるんじゃなかったのかよ)
僧「死ね」
ルイーダ「死ねじゃないわよ!言っとくけど魔王討伐の志願者なんてもういないからね!こんな時期に予約もなしに来る人なんて奇跡よ!異常よ!」
俺(異常って言われた…)
僧「だまれ。なら予約されるのを待つ」
ルイーダ「無理でしょ!あんたまだホイミ使えないんだから!そんな僧侶が予約されるわけないでしょ!最初は飛び込みの客についていって、それで経験積んで実績残さないとだれもあんたを僧侶だなんて見てくれないわ!みんな最初はそうしてるの!」
僧「知らん、死ね」
ルイーダ「いい!?このチャンスを逃したらあんた二度と魔王討伐にいけないわよ?行きたいんでしょ?それで立派な僧侶になりたいんでしょ?」
僧「……」
ルイーダ「はい決まり!もう決まり!」
16 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 03:36:40.36 ID:66/q449p0
ルイーダ「お待たせ~♪喜んで行くって言ってるわ」
僧「くそが…」
俺(うわ…感じわるっ)
ルイーダ「あと二人連れていけるわね。どうする?っていってもウチにもあと二人しか残ってないんだけど」
俺「はぁ、じゃあその二人でいいです…」
ルイーダ「(よっしゃ!)そう?じゃあ呼ぶわね♪商人さ~ん勇者さんがお呼びよ~」
商「はーい!あら、随分若い勇者さんじゃない。よろしくね!」
俺(わ!すっごいブスだ!)
僧「…チェンジ」
俺・ルイーダ・商「!!!!!」
17 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 03:37:43.83 ID:66/q449p0
商「ちょっと!チェンジって何よ!私が何かしたわけ!?」
僧「だってブスだし。死ね」
商「は!?あんたが死になさいよ!大体私のどこがブスなのよ!!」
僧「眼がどくいもむしみたい。鼻もどくいもむし、口もどくいもむし。見てるだけで毒に侵されそうな顔だな」
俺(酷っ…でも確かに…)
商「ぐっ!!!い、言っておくけどね!これは私の本当の姿じゃないの」
僧「知ってる。本当はどくいもむしだろ」
商「(こいつ死ね!!)う、うふふ。そうじゃないの。これは魔王バラモスの呪いなのよ」
僧「へえ、魔王の呪いで人間の姿に変えられたんだ」
商「違うわよ!元々人間よ!っていうかどくいもむしから離れろ!(落ち着け落ち着け…)そう、信じてもらえないかもしれないけど本当の私はこんな顔じゃないの。でも…バラモスの呪いで今の顔に…。だから!バラモスを倒して本当の私に
僧「別にどうでもいい」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0034792E6/kanasoku-22/ref=nosim/
18 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 03:40:06.74 ID:66/q449p0
ルイーダ「えっと、そろそろ三人目を呼んでもいいかしら?」
俺「あ、はいお願いします(うわぁ商人の顔怖っ)」
ルイーダ「遊び人さ~ん、勇者さんがお呼びよ~」
僧「おいおい、商人に遊び人だと?まともなの俺だけじゃないか」
商「は?なんで商人がまともじゃないわけ?だいたいあんただってまともじゃないわよ!」
俺(俺は数に入ってないのかな…)
遊び人「おぎゃwwwwwwwwwww」
俺「えっと、こんにちは…」
遊び人「でゅくwwwwでゅくwwwwwww」
俺「え…?」
19 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 03:41:40.79 ID:66/q449p0
僧「おい、こいつ池ぬ
商「ちょっと!!やめなさいよまた!そういう芸風に決まってるでしょ!」
??「たかしちゃん!!よかったわね!!」
俺「たかしちゃん?」
ルイーダ「こちらはたかしちゃんのお母様よ」
たかし母「うちのたかしちゃんを雇ってくれてありがとうございます。ちょっと特別な考え方をする子ですが、素直で優しい子なんです。どうかよろしくお願いします」
商「特別な考え方って?」
ルイーダ「ああ、たかしちゃんはウチの障害者採用枠で入ってきたのよ」
たかし母「ちょっとあなた!!障害者なんて言わないで!ちょっと他の子と考えてることが違うだけであなた達となんの違いもないのよ!」
俺・商(本物だったー)
20 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 03:43:21.03 ID:66/q449p0
ルイーダ「どうする勇者さん?無理に連れていけとは言わないけど(しかしこの状況で断れまい、ふふふ)」
俺「どうって言われても…」
たかし母「どうかお願いします!」
僧「…別にいいだろ。遊び人なんてどうせ元々役に立たないんだし」
俺・商・ルイーダ「え!?」
たかし母「まあ!ありがとうございます!よかったわねたかしちゃん!お仕事決まったわよ!!」
遊「シュエエサイwwwwww」
商「え、本当に連れていくの?」
俺「いや、あの」
ルイーダ「これで旅の仲間がそろったわね!さあ魔王討伐の旅に張り切っていってらっしゃい!!ほらほら早く早く!魔王は待ってくれないわよ!」
俺「いや、ちょ」
たかし母「たかしちゃん!!気をつけるのよ!!」
遊「ターアイサイwwwwwwwwwww」
22 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 03:44:48.54 ID:66/q449p0
シーン……
俺(気まずいなあ…)
商「で、まずどこにいくの勇者?」
俺「え、えっと…(すぐ帰りたいし何も決めてないや)」
僧「どうせ何も考えてないんだろクズ」
俺「いや考えてるし!」
キャー!!
俺「!?」
遊「まおどこいるれすかwwww」
村女「何この人!ヨダレつけられたし!ありえないんですけどー」
商「ちょっとたかしちゃん、だめよ知らない人に話しかけたら。すみません」
遊「あじゃwwwまおのいえおしえてもらうのれすwww」
俺「あ、そうそう、だからまずは情報収集しないとね!」
僧「ふーん」
俺(いいよね?正解だよね?もうなんか胃が痛い…)
24 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 03:45:54.21 ID:66/q449p0
このときの俺が探したかった情報は魔王を倒すためのものではなく、旅を諦めてもいい言い訳だった。
出会った仲間が都合よくろくでもない者達だった、これなら仲間のせいにすることもできる。そう考えていた。
勇者様にもそんな時代があったんだね!
今ならそう言われることだろう。
でも俺は今も昔も変わっていない。
自分にとって大切なものを失わないためなら言い訳だってするし人のせいにだってする。
今になって違うとすれば、言い訳は納得の理由とされ、人のせいは正義の指摘とされることだ。今はそう言われる手段を持っているし方法も知っている。
このときの俺にとって失いたくなかった大切なものは希望だった。
自分もいつかちゃんとすれば周りから尊敬される人間になれる。そんな希望。
ちゃんとやっても駄目だったという事実を見たくなかった。希望を失うことになるから。
希望なしに生きるには人生はあまりにも辛過ぎる。
25 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 03:47:12.63 ID:66/q449p0
商「とりあえずこれで全員に話は聞いたわね」
俺「えっと、教会の男が言ってたアリアハンの外側の大陸に行くには」
商「街のおじいさんが言ってた封印された旅の扉に行けばいいのね」
俺「うん、それでその封印をとくためにまほうのたまが必要だって城のじいさんが言ってた」
商「まほうのたまはレーベの村の老人がつくっているって城の男の人が言ってたわ」
俺「じゃあレーベのそのじいさんのとこに行けばいいのか」
僧「アホか。これまで何人アリアハン大陸から出ていいていると思ってんだ。封印なんかとっくに解かれてるだろ」
商「うっさいわね!あんた聞き込みもしないでプラプラしてたくせに偉そうに!」
僧「黙れブス。少し考えれば子供でもわかる」
俺「あ、じゃあ…東の旅の扉に行きましょう…はい」
26 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 03:48:24.52 ID:66/q449p0
~アリアハン外~
俺「おー、初めて外に出た!すごい!広い!」
商「感動してる場合じゃないわよ、そこらじゅうに魔王の手先のモンスターがいるんだから。私達レベル1にとってはスライムだって
俺「あ!スライムだ!!いっぱいいる!きゃわいぃ~」
商「ちょっと!近づいたらだめだって!」
スライムAの攻撃!勇者は2のダメージをうけた!
俺「ふぐぅ!!」
商「ばか!何やってんの!みんな早くかまえるのよ!」
俺「無理…みぞおち入った…おげぇぇ」
遊「あうあうあーwwwww」
商人の攻撃!スライムAに5のダメージ。
商「ほら!僧侶も早く攻撃して!」
僧「は?俺僧侶だし」
商「いいから戦え!!」
28 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 03:49:41.61 ID:66/q449p0
スライムBの攻撃!商人は2のダメージをうけた!
スライムCの攻撃!商人は3のダメージをうけた!
商「はあ…はあ…。僧侶!ホイミ使って!」
僧「無理」
商「なんでよ!戦わないなら回復くらいしなさいよ!」
僧「いやホイミ覚えてないし」
商「は!?何でよ!僧侶ならレベル1で使えるでしょ!?」
僧「知らん」
スライムDの攻撃!勇者は3のダメージをうけた!
俺「うわああぁぁ」
ダダダダッ!
勇者は逃げ出した!
商「あ!ちょっと!」
僧「あーあ、逃げちゃったよ。それにたかしがカラスに食われてるぞ」
遊「おぎゃwwwおぎゃwww」
商「あーもう!逃げるわよ!!」
29 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 03:51:19.59 ID:66/q449p0
商「なんでホイミも使えないのに僧侶とか言ってんの?あんだけ偉そうなこと言っておいてあんた何もできないんじゃない!」
僧「だまれ豚」
商「だまるわけないでしょ!あんた何の為にいんのよ!」
僧「じゃあお前は何の為にいるんだ?攻撃だって戦士や武闘家以下で呪文も使えない商人さんよぉ」
商「そ、それは…お金とか必要だからじゃない!旅だってタダでできるわけじゃないんだから!」
僧「モンスター倒せば金は手に入る。商人がいる必要はない」
商「いた方がもっとお金が貰えるのよ!あ、それに道具の鑑定だってできるんだから!」
僧「別にいらんだろそんなもん」
商「呪文も使えない僧侶よりはましよ!!」
僧「ニフラムなら使える」
商「それこそいらないわよ!」
30 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 03:52:57.22 ID:66/q449p0
俺「あの、落ち着いてください…」
商「は!?何が落ち着いてよ!だいたいあんたも何で真っ先に逃げてるわけ?どうのつるぎ持ってるじゃない!なんで戦わないのよ!」
俺「だって…初めてだったし…いきなり攻撃されたし…」
商「モンスターなんだから攻撃してくるのは当たり前でしょ!仲間を置いて逃げるなんて勇者失格よ!」
俺「な、なんだよ!いきなり勇者になれるわけないだろ!初めてで何も知らないんだから!だからみんなを連れてきたのに!勇者を守るのが仕事だろ!失格なのはそっちじゃないか!」
商「何が失格なわけ?私はちゃんと戦ったわ!あんたみたいに逃げたりしてないわ!」
俺「いや失格だね!勇者の仲間に商人なんて必要ないし!遊び人だってそうだ!それに回復できないなら僧侶連れてる意味だってない!ちゃんとした戦士や魔法使いがいないと無理に決まってるじゃないか!」
商「最低…。じゃあ何で私達を連れてきたのよ!!」
俺「あんた達しか残ってなかったからだろ!役立たずだから残ってたんだろ!」
31 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 03:54:13.58 ID:66/q449p0
僧「じゃあお前は何ができるんだ」
俺「何もできないよ!今まで旅だってしたことないんだから!当たり前だろ!」
僧「何もできないなら偉そうなこと言うな」
俺「それはこっちのセリフだ!あんなに偉そうにしててホイミもできない僧侶なんて詐欺じゃないか!!僧侶失格だ!!」
僧「なんだと
遊「おぎゃwwからすきたれすwwww」
商「くっ、とりあえず逃げるわよ…」
32 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 03:55:25.72 ID:66/q449p0
それからは酷く険悪な旅だった。
そのとき俺はてっきりみんなアリアハンに戻るのだと思っていた。
だが違った。東へ向かったのだ。
俺の意思ではなかった。商人か僧侶か、それとも遊び人の意思だったのか。
お互いに誰とも口をきかず、モンスターが現れても誰も何も言わず無言で逃げた。
時々遊び人だけが何かを言っていたが、誰も反応すらしなかった。
そして俺達は旅の扉があると言われるいざないの洞窟へと向かった。
俺達の予想に反して洞窟の入り口は壁で封印されていた。
封印が解かれていると言い出した僧侶は無言だった。
商人も僧侶を責めることなく無言だった。
レーベに行こうと言い出したのは俺だった。
レーベに行けばまほうのたまが手に入るかもしれない。
その可能性がある限り旅を終えることができないからだ。
そう、あくまでも自分の意思ではなく、しかたなく旅を終えなければならなかった。
俺はまほうのたまが手に入らないことを願いながらレーベに向かった。
33 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 03:56:32.56 ID:66/q449p0
レーベのまほうのたまを作っている老人の家には鍵がかかっていた。
村人が言うにはその老人が家から出てくることは無いらしかった。
つまりこちらから家に入っていかなければ老人に会いまほうのたまを貰うことができない。
だが俺達にはこのドアを開けることができない。俺にはこれで十分だった。
俺「……開かないね。まほうのたま、もらえない」
商「……」
俺「しょうがないね。まほうのたまがないなら旅の扉にもいけない」
僧「……」
俺「……。しょうがないよ。……帰ろう」
商「……そうね」
遊「ナミwwナジwwバタwww」
俺「うんうん、帰るんだよたかしちゃん」
遊「カキwwwwトオソノwww」
俺「帰ろう、アリアハンに!」
34 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 03:57:44.76 ID:66/q449p0
このとき遊び人が言いたいことに俺は気づいていた。
アリアハンで情報を集めたときにナジミの塔にいる老人がバコタという盗人からとうぞくの鍵を奪っているという話を聞いていた。
その鍵があればこのドアを開けることができるのだろう。
商人はこのときその話を思い出さなかったようだ。
だから遊び人がその訴えをしているのを俺は商人が気づかせない必要があった。
俺は遊び人に寄り添ってアリアハンへと向かい、その後ろを少し離れて二人がついてきていた。
~アリアハン城下町~
俺「……じゃあ、ここで」
僧・商「……」
母「まあまあ!おそかったのねっ。でもぶじで本当によかったわ!さあ、もう
上にいってお休みなさい。お友達もご一緒に…さあさあ」
俺「あ、いや、母さん」
商「いや、私達もう」
母「いいのいいの、遠慮しないで。魔王を倒す旅をしてくれているんですもの、私にできることなんてみなさんの疲れを癒すことしかないんだから、ね?さあさあ」
35 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 03:58:49.97 ID:66/q449p0
半ば強引に母に招きいれられ、その晩はウチに泊まることになった。
僧侶も特に何も言わず泊まることにしたのが意外だったのを覚えている。
考えればわかることだ。
ルイーダの店でずっと余り物として過ごしてきた三人。やっと旅に出れたと思ったらたった一日で戻ってくるなんて、ルイーダさんに会わせる顔がないだろう。
ルイーダさんの顔色なんて気にしない僧侶ですらそのまま帰ろうとしなかったのは、それだけ旅にでることを夢み続けていたのだろう。
他の二人もきっと。
その時の俺には彼らの夢など知る由もなく、ましてや曲がりなりにも彼らに希望を与えていたことすら理解できていなかった。
36 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:00:08.75 ID:66/q449p0
母は嬉しそうに彼らに料理を食べさせ、街の外のことを質問し、それを楽しそうに聞いていた。
商人は大人らしく受け答えをし、僧侶は母の問いかけにハイかイイエで答えていた。
遊び人は楽しそうに食い散らかしており、母はそんな遊び人の食べかすを楽しそうに拭いていた。
そんな楽しそうな母を見て俺は旅を止めることを言いづらく感じていたのを覚えている。
その晩の遅く、一階に下りると母がまだキッチンに立っていた。
俺「…何してんの?」
母「ん~?お弁当を作ってるの。みなさんの分もね」
俺「いや…いいよ」
母「どうして?お腹すくでしょ?」
俺「いや、だから…もう旅にはいかないから」
38 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:01:12.59 ID:66/q449p0
母「ターキーのサンドウィッチにしようかと思うの。みなさん嫌いじゃないかしら」
俺「旅は駄目だったんだ。みんなで決めたんだ」
母「飲み物も付けましょうかね。コーヒーとお茶どっちがいいかしら」
俺「だから!もう旅には行かないんだって!弁当もいらないんだってば!」
39 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:02:42.36 ID:66/q449p0
母「……。……どうして?」
俺「母さんには話してもわかんないよ。とにかく駄目な理由があるんだ」
母「何で?言ってみて?どんな理由?」
俺「ドアが開かないの!まほうのたまを作ってる人の家の!まほうのたまがないと旅の扉にいけないの!」
母「ドアくらい開けてもらえばいいじゃない」
俺「何もわかってない!そんな簡単な話しじゃないんだよ!」
母「本当に行ったの?」
俺「は?行ったに決まってんじゃん!俺東の洞窟までいったし!すごい死にそうになりながら行ったし!」
母「…でも隣のゆうちゃんはもうよその大陸まで行ったって、さっきゆうちゃんのお母さんが言ってたわよ…」
俺「知らねえよゆうすけのことなんか!よそはよそって言ってたのはお前だろ!!」
40 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:03:53.98 ID:66/q449p0
母「もう一回いってみればいいじゃない…」
俺「は!?俺の話し聞いてる!?言ったよね?無理な理由言ったよね?わかんないの?あんたずっと家の中にしかいないからわかんないよね?外のこと何もしらないもんね!?」
母「でもまだわかんないじゃない…」
俺「なんなの?俺が帰ってくるのがそんなに嫌なわけ?死にそうになりながら行ったって言ったのにまた行けってなに?俺に死ねってこと?母親なら子供の心配するのが普通だろうが!!」
ガタンッ!!
母「うるさいうるさいうるさいうるさい!!!!!!!!!」
俺「は!?」
41 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:05:40.78 ID:66/q449p0
母「ほんとあんたってあの人そっくり。口ばっか偉そうでそのくせ何もしないで、気に入らないことは全部私のせいにして!
もううんざり!だいたいあんたが魔王を倒しに行くっていうからこれまで無職でも何も言わなかったんでしょ!!なのに帰ってきてどうすんのよ!」
俺「知らねえよ!無職だろうとなんだろうと子供の世話するのが親の責任だろうが!!」
母「そんな責任は子供が学校卒業するまでよ!!」
俺「んなわけねえだろ!!てめえが勝手に産んでおいて邪魔になったらあとは好きにしろだ?ふざけんなよ!!」
母「みんなそうしてんのよ!!私だっておじいちゃんだってそのおじいちゃんだってみんな当たり前にそうしてんのよ!大人になったら働くの!?当たり前でしょ!」
俺「お前らとは時代が違うだろうが!!旅に出て魔王を倒すか殺されて死ぬか、それとも外にも出られねえで街の中で西の壁から東の壁までウロウロするだけのクソみてえな人生かどっちかしか選べねえだろ!!
そんな時代にてめえの都合で産んでおいて死ぬかクソか選べってのかよ!!ふざけんな!!」
母「みんなそんなクソみたいな人生送ってるの!それが人生なの!あんたが思ってるほど楽じゃないの!!」
俺「は、それでクソみてえな人生送って何が幸せなわけ?父さんだってそんな人生で幸せだったなら旅に出てねえだろ!どうせあんたがクソみてえな生き方してるから父さんが出て行ったんだろ!」
パンッ!!
42 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:06:54.56 ID:66/q449p0
母「何も知らないくせに…。勝手なこと言わないで!!あんたの父親が出て行ったのは私のせいじゃない!みんな何も知らないくせに勝手なことばっかりいって!」
俺「…じゃあなんで出ていったんだよ!?」
母「変態だからよ!あんたの父親は変態なのよ!!」
俺「は!?」
母「あんたの父親はねえ!ばくだんいわと駆け落ちしたのよ!!」
俺「…は?」
母「街に来た大道芸のばくだんいわに恋して一緒に出て行ったのよ!!あいつは元々変態だったのよ!だから私は悪くない!!」
俺「…え?」
母「なのに私があいつを狂わせたとかばくだんいわに劣る女だとか、みんな勝手なことばっかり言って!だからあんたを勇者にして見返してやろうと思って今まで我慢してたのよ!!
世間の人にもあいつにも!!勇者の母親になって見返してやろうと思ってたのに!!なんで帰ってくるのよ!!」
俺「…し、知るかよ!!そんなのお前の都合だろ!俺には関係ねえだろ!!」
母「うるさいうるさいうるさい!!もう出て行いけ!!勇者にならないならあんたなんかいらないわよ!!」
俺「…こっちだってお前みたいな母親いらねえよ!!」
母「じゃあ出てけ!!」
俺「うっせーババア!言われなくても出てくわ!!!」
44 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:08:32.29 ID:66/q449p0
事実はこうだった。
俺の父親は確かにばくだんいわと駆け落ちした。それは母の言うとおりだった。
父親は元々モンスターも愛せる人間だったのだ。それも母の言うとおりだった。
だが、父親はモンスターしか愛せないわけではなかった。
人間を好きになることももちろんあった。母とも初めはお互いに想いあっていたのだろう。
だが、二人の間に溝ができた。それは父がばくだんいわに出会ったからじゃない。
父は溝ができた後にばくだんいわに出会ったのだ。そして恋に落ちた。
俺は父のことを恨んではいない。
むしろ羨ましく思う。俺や母を捨てて世界中から否定されそうなことをした父だが、それほどまでに得たいと思うものを知ったのだから。
それを知ることができたのは父だからだろう。
父は昔から世間の冷たい視線を浴びながらもモンスターを愛する自分を否定しなかったらしい。
どんな自分の心の声にも耳を塞がないで聞き続ける、そんな父だからこそそれに出会えたときすぐに気づけたのだろう。自分にとって大切なものだと。
45 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:09:52.63 ID:66/q449p0
母のことも恨んではいない。
でも俺はあの日からしばらくは母を恨んで生きた。
母に捨て台詞を吐いた俺は着の身着のまま家を飛び出した。そして泣いた。
色んな感情が次々溢れてきて止まらなかった。
怒りに憎しみに悔しさ、そして悲しみ。
後になって気づいたが、俺は母のことをちゃんと好きだったようだ。
好きな人に自分の気持ちを理解してもらえない辛さ、もどかしさ、悔しさ。
この人だけはわかってくれるという期待が意に反したときの衝撃。
もちろん自分の気持ちなんて、相手に伝わる形で表現しないと理解されることはない。
そのときの俺には知らないことだった。
なぜなら、それまで自分の気持ちを人に伝えるという行為をしてこなかったからだ。
世間で俺という人間を評価をされる内に、自分の気持ちは人に受け入れられない否定されるもの、そう思っていた。
でもあのときの俺は、心のどこかで母だけは最後まで自分の味方でいてくれると思っていたようだ。
だからどんな言葉を使ってもわかってくれると、受け止めてくれると思っていた。
しかしあのときの母にはそんな余裕はなかった。母も溢れていたのだ。
だから、俺が溜めに溜めてきって表現したその感情の真意など理解できるはずがなかった。
もちろん言っていた俺も自分が何を訴えたいのかをあのときは理解していなかった。
お互いが相手に自分でも理解していないものを理解してもらおうとするだけで、自分が相手を理解しようとはしなかった。
親子だから、当たり前に理解してくれる、そう思っていた。
46 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:11:01.56 ID:66/q449p0
家の外で泣いていると僧侶と商人と遊び人が出てきた。荷物を持っていることからどうやら状況を察しているようだった。
俺はなけなしのプライドで母との会話の内容が聞かれていないことを願ったが、僧侶の一言で見栄を張る必要が無いことを知った。
僧「よお、ばくだんジュニア」
俺「ひっく……聞いてたんですか」
僧「あんだけ大声で話してたら嫌でも聞こえるだろ」
俺「…それで、バカにしに来たんですか」
僧「バカにするほどお前に興味ねえよ。俺たちはルイーダの店に戻ることにした。じゃあな。いくぞたかし」
遊「おぎゃ……」
俺「……」
商「あの…、大丈夫?」
俺「…ほっといてください」
僧「そんなクズほっとけよ」
商「……」
三人はルイーダの店に戻っていった。
47 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:12:05.84 ID:66/q449p0
どうして商人はあのとき俺に声をかけてくれたのか。
そのときの俺は偽善、弱者への哀れみ、見下しだろうと考えていた。
商人だって聖母ではない。それらの感情を元に動くこともあるだろう。
しかしあのときの商人を動かしていたのは哀れみでも見下しでもなく、共感だった。
俺はその夜から街の宿屋に泊まった。
王様からもらった50Gがあった。
アリアハンの宿屋は一人2Gなので、一ヶ月は泊まることができる。
この50Gを貰ったからにはアリアハンを出て行かなければならない。
俺の予定ではちょっと旅をして家に帰り、母親が王様を説得してくれるはずだった。
一度旅に出たものの、怪我や病気で旅を中断せざるを得なくなり、帰国を許されている者が何人かいた。
俺もその一人になる予定だった。
いっそ外で大怪我をして母を後悔させてやろうかとも考えた。
自分を否定した母が自責の念にかられることを何度も妄想した。
しようと思ってしたわけではない。しなければ自我を維持できなかったのだ。
金が無くなれば宿屋どころかアリアハンから出て行かなければならない。
そうすれば野垂れ死にするのは確実だ。だがそれでもいいと思った。
そうすれば母が後悔すると思ったから。
宿屋に泊まってからそんなことばかりを考えていた一週間目の晩、宿屋に商人が尋ねてきた。
48 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:13:09.83 ID:66/q449p0
俺「なにしに来たんですか」
商「いや…、これからどうするのかなって…」
俺「どうって、何が?」
商「アリアハンから出て行かないといけないんでしょ?」
俺「どうでもいいですよ…」
商「どうでもいいって、だってお金なくなったr
俺「そんなことどうでもいいって言ってんだろ!!だいたい何しに来たんだよ!!どうせ見下しに来たんだろ!!!」
商「は、ちょっと何いって
俺「図星だろ!自分より惨めな奴を見つけて嬉しいんだろ!!そりゃそうだよな!そんな化け物みたいな顔な上に役立たずの商人だもんな!!自分より下のやつを見つけて嬉しくてたまんないんだろ!!そうなんだ
バッキィィィ!!!
俺「ふぎゃ!!」
商「はあ…はあ…。あんたねえ…いい加減にしなさいよ…。本当なら…今この場であんたのこと殺してやりたいわ…」
49 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:14:31.89 ID:66/q449p0
俺「じゃ…じゃあ殺してみろよ!!」
商「私はあんたを殺しはしない。……ちょっと外にでましょ。こんなとこで大声だしたら周りに迷惑だわ」
俺は黙って商人の後をついて行った。
アリアハン城下町の南東部分の空き地にある井戸に商人は腰掛けた。俺はそばに立っていた。
商「……」
俺「…で、何なんですか」
商「さっきも言ったけど、私は今あんたのことが死ぬほど憎いわ」
俺「はん、それを言うためにここに来たんですか」
商「違う。……あんたねえ、ちょっと甘え過ぎよ」
俺「でたよ、どいつもこいつも二言目には甘え甘えってバカの一つ覚えのように。仮に甘えだとして何が悪い?どうせ自分が甘えられないから甘えてる奴が気に入らないだけだろ!自分と同じ苦しみを味わわせないと気がすまないんだろ!」
商「そうよ」
50 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:15:41.33 ID:66/q449p0
俺「は…、ほら。やっぱりそうじゃないか。そんな醜い人間が偉そうに人に説教かよ」
商「そうね。あんたの言うとおり私は醜い人間よ。さっき言ったように人を憎むし殺したいとも思う。妬んだり僻んだり見下したり、本当に醜い人間よ」
俺「……」
商「でもね、それはあんたも同じでしょ。いや、あんただけじゃない、人間ならみんなそう。醜いの」
俺「……だからなんだよ」
商「私がなんであんたに甘えてるっていったかわかる?」
俺「知るかよ。俺が気に入らないからだろ」
商「まあね。でも私が聞いたのは、あんたのどこが甘えてると思って私が言ったかってこと」
俺「知らねえよ。そっちが勝手に俺が甘えてるって思いたいだけだろ」
商「あっそう。わかった。じゃあ甘えてるって言葉は取り消すわ。でもあんたが今やってることは赤ん坊と一緒だってことわかってる?」
俺「は?どこがだよ!?」
51 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:16:42.61 ID:66/q449p0
商「赤ん坊は自分の欲望を叶えるために周りを使うの。泣いて叫んでね。そうすれば周りが食事を与えてくれるし自分を楽しませてくれる、何でも周りがしてくれる」
俺「……」
商「あんたがやってるのはそれと同じなの。自分からは動かないし何もしない、周りがあんたの欲望を叶えることを期待するだけ。叶えてくれない人は否定して拒絶する。でも誰もあんたのことを赤ん坊のように可愛がってはくれない。泣いて叫んでも何もしてくれない」
俺「そんなこと……」
商「そんなことなに?そんなことないって?そうでしょ!あんたがお母さんと言い争ってるの聞いてどんな人間かすぐにわかったわ!」
俺「ふ…ふざけんな!お前に俺の何がわかるんだよ!!」
商「わかるわよ!!」
俺「いーやわかってないね!」
商「わかるの!私もあんたと同じだからよ!!」
53 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:17:50.41 ID:66/q449p0
俺「は…?なにそれ、お前と一緒にするな」
俺の言葉には反応せず、商人は俯いた口を閉ざした。
俺はどうしていいかわからずに商人が何か言うのをただ待っていた。
声を荒げた言い争いの空気が薄くなってきたころに商人は再び口を開いた。
商「……あのね、私昔好きな人がいたの」
55 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:19:08.20 ID:66/q449p0
俺「……」
商「生まれて初めて好きになった人。ちょうどみんなが異性のことを気にし始める歳のころにね」
俺「……」
商「ほら、私って、か…顔がこんなじゃない?だからみんなが男の子のことでキャーキャー言い始めたころも自分には関係のことだって諦めてたの。学校でも誰にも相手にされなくて、友達もいなかった。
私みたいに孤立した子は他にもいたけど、その子達と一緒にいるのが惨めな気がして結局いつも一人。変なプライドがあったのねきっと」
俺「……」
商「でもね、そんな私にも話しかけてくれる男の子がいたの。その人はみんなの人気者で男の子からも女の子からも好かれてた。その人の周りにはいつも人がいるから、その人が私に話しかけてくれるときだけはみんなも私と話してくれた」
俺「……」
商「ふふ、思い出してみるとあのときの私って簡単な女よね、話しかけてくれただけで好きになるんだから。でもね、そのころ私の見た目に関係なく接してくれる人なんてお父さんとその人だけだった。それがすごく嬉しかったの」
56 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:20:09.60 ID:66/q449p0
商「それでね、ある日その男の子の誕生日パーティーに招待されたの。教室のみんなを招待したいからよかったら私も来ないかって。生まれて初めて招待されて、嬉しかった。……でも怖かった」
俺「……」
商「みんなきっと綺麗な格好でくると思った。私はそれまでオシャレなんてしたことなかったから、どんな格好していったらいいかわからなかった。でも好きな人が誘ってくれたんだから、私はどうしても行きたかったの」
俺「うん……」
商「相談できるような友達もいないし家族もお父さんしかいなかった。お父さんにドレスを買って欲しいなんて恥ずかしくて言えなかった。だから自分で作ることにしたの」
俺「……」
商「といってもドレスなんて簡単にできるわけないし、デザインだってわからないからメチャクチャなものを作ってたの。そしたらね、それをお父さんに見られちゃったのよ」
57 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:21:12.46 ID:66/q449p0
商「それでお父さんが、何作ってるんだ?って聞いてきたんだけど、私一人で焦っちゃって、友達の誕生日会に呼ばれたから服作ってたんだけどなんかうまくできないからやっぱり行くのやーめた!なんて変な答え方しちゃったのよね」
俺「うん……」
商「そうしたらお父さん、ふーんって、それ以上何も聞かなかった。私もそこでもういいやって思った。行くの止めようって思った。そしたら次の日にね、お父さんが、これ誕生日会に着ていったらどうだって、私の部屋にドレスを持ってきたの」
俺「うん」
商「これどうしたの?って聞いたら、お母さんが昔着てたドレスだって。お母さんは私が小さいころに亡くなったんだけど、お母さんの服とかアクセサリーとか、いつか私が使うんじゃないかと思ってお父さんとっておいたんだって」
58 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:22:26.42 ID:66/q449p0
商「私オシャレのことは全然わからなかったけど、すごく素敵なドレスだと思った。お姫様が着てるみたいなドレスだなって。だから、それを着て誕生日会に行こうと思ったの」
俺「うん」
商「当日まで何度も袖を通して鏡の前に立ったわ。いつもの自分じゃないみたいですごくワクワクした。それにお母さんのドレスを着れるのが嬉しかった」
俺「うん…」
商「それで誕生日会の日にドレスを着て出かけようと思ったら、お父さんが写真を撮りたいって言うの。恥ずかしかったけどお父さんも嬉しそうだったから、照れながらカメラの前に立ったの。そしたらお父さん、本当のお姫様みたいだねって」
俺「うん」
商「本当にその時はお姫様みたいな気分だった。好きな人に見てもらいたかった。それですごく楽しみにして誕生日会の会場に行ったの。そうしたら、他の女の子達は私のドレスとちょっと違ってた」
59 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:23:45.87 ID:66/q449p0
商「みんなが着てるのはシンプルで肩とか出して大人っぽいドレスだったの。私のはゴテゴテしてて派手なドレスだった。ちょっと私の格好おかしいのかなって不安になったわ。でもとりあえず好きな人に見てもらいたくて彼に近づいたの」
俺「……うん」
商「私が近づくと彼は気づいてくれて、わぁ今日はいつもと違うね!って言ってくれた。彼の周りには他の女の子も沢山いて、私の格好を見てビックリしてた」
俺「…うん」
商「女の子達が、すごいドレスだねーとか、なんかすごいねーって言ってくれて、私は褒めてくれてるんだと思ってた」
俺「……」
商「でもね、女の子の一人が私のドレスを見てこういったの。あ!わかった!何かっぽいと思ったら20年前って感じ!?」
60 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:24:54.19 ID:66/q449p0
商「それを聞いた他の子達は大笑いよ。あー!確かにww、っぽいっぽいww、言っちゃったよーwww、私も思ってたーwww。それを聞いて彼も一緒に笑ってた」
俺「……」
商「頭が真っ白になったわ。女の子の一人が、ねえそれどこで買ったのwww店でそんなの売ってなくねwwwって言うから、つい近所のおばあさんに貰ったってウソついちゃった」
俺「……うん」
商「だからだよーwwwちょーうけるしwwwって言われて、私も強がって、あやっぱりーwwあのおばあさん変な服しか持ってないんだよねwwでも買うのももったいないしまあこれでいっかってwww…そんなこと言った」
俺「……」
商「それから私は道化に徹したわ。みんなも馬鹿にしても平気なんだって思ったのか、私を見て誰が一番面白いこと言えるか競い合ってるような雰囲気だった」
61 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:26:07.25 ID:66/q449p0
商「帰り道ずっと泣いてた。行くんじゃなかったって後悔した」
俺「…うん」
商「家に帰るとお父さんが嬉しそうにどうだった?楽しかったか?って聞いてきたんだけど、疲れたから寝るねって直ぐに部屋に篭ったわ。部屋に入ると姿見にドレスを着た自分が映ってた。
その日さんざん笑われたドレス。わ…私、バカみたいだった。一人であんなに浮かれてオシャレした気になって…勘違いして…。すごく惨めだった…彼の前であんなに笑われて…。
自分が情けなかった…お母さんのドレスなのにウソついて…素敵だと思ったのに周りに合わせてダサいなんて言って…。お父さんが…せっかく用意してくれたのに………」
そう語る商人の目からは今にも涙が溢れそうだった。
商人がなぜこの話しをしたのか、俺にはわからなかった。
だが、奇しくもこの話しが俺の壁を壊すきっかけにはなった。
俺には商人の気持ちが理解できる理由があった。
62 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:27:20.57 ID:66/q449p0
あれは俺が10歳の頃だ。
学校の連中がアリアハン城の見学に行こうと話し合いをしていた。
その中の一人が、近くにいた俺に城に行ったことがあるかと聞いてきた。
俺は一度城に行ったことがあったので、城のことは知ってると伝えた。
すると連中は俺がいれば安心だなと言ってくれて盛り上がった。
アリアハン城見学ツアーの当日の朝、母に学校の連中と見学に言って来ると伝えるとサンドウィッチを作ってくれた。
俺の分だけじゃなく他の連中の分も。
俺が友達と出かけることなんて無かったから嬉しかったのだろう。
当日、俺は集合場所に時間ぴったりに到着した。
すでにみんな集まっていた。
俺が近づくと、おー、こんなとこで何してんだ?と聞かれた。
俺がよく理解していない顔をしていると、他の連中がヒソヒソ話しているのが聞こえた。
まさか誘われたと勘違いしたんじゃねww
俺は勘違いしていた。自分も見学に誘われたのだと。
慌てて俺は一人でたまたま遊びに来ただけだと伝えた。
多分勘違いしたことはバレていただろう。
63 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:28:29.33 ID:66/q449p0
母に見学に行くと伝えた手前、すぐに帰るわけには行かなかった。
俺は街のベンチで夕方まで時間をつぶした。5人分のサンドウィッチを食べながら。
家に帰ると母親は嬉しそうに色々と質問をしてきた。
俺は必死にウソをついた。
そんなことがあった。
だから分かった。商人の惨めな気持ちも情けない気持ちも悔しい気持ちも。
そして商人が自分の口でその話しをする辛さも、そのときの気持ちを人に知られる恥ずかしさも俺には痛いほど理解できていた。
だから俺は商人に共感した。
64 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:29:42.57 ID:66/q449p0
共感することで俺は商人の苦しみを理解した。
それと同時に自分が商人に放った言葉の重さも理解した。
その理解は自責の念として俺の心に激しく突き刺さった。
その痛みに俺は泣いた。
商「…なんであんたが泣いてんのよ」
俺「だって…おれも…そういうのあったから…わかるから…うっ。おれ…商人にすごい酷いこと言った…ひっ」
商「…なによ、急に…」
俺「ごめん…なさい…ごめんなさい…ひっ」
商「……」
俺「ごめんなさい……」
商「……もういいわ」
65 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:31:10.16 ID:66/q449p0
俺はこのときは謝って許してもらえればれば商人に放った言葉が消えると思っていた。
だが相手が許すことと、相手の傷が癒えることは別だ。
相手に許しを請うとは、自分のことをこれから先恨まないでくださいとお願いすることだ。
許す側はそれに応えてしまうと二度と相手を責めることはできない。
後は一人静かに相手に与えられた傷の痛みと戦っていくのだ。
だから、俺はこのときまだ許されるべきではなかったのだ。
商人は俺が落ち着くのを待ってから続きを話してくれた。
69 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:32:20.65 ID:66/q449p0
商「それから私ね、悔しくて色んなことをがんばったの。でもがんばればがんばるほど裏目にでたわ。勉強を頑張ればブスなんだから成績くらいよくないとねって言われる。スタイルに気を使ってお洒落をすればいくら頑張ってもブスはブスだよねって言われる。
ブスなのにブスだからブスのくせに。私が何をしても世間はブスという評価しかない」
俺「……でも、ブスでも認められてる人もいるよ。あの女武闘家でこの間政治家に立候補もしてた人とか、だから商人だって」
商「そうね、よく言われたわ。ブスでも輝いて生きてる人はいるんだからお前はブスってことに甘えてるだけだって。周りはいつも勝手よ、堂々と生きようとするとブスのクセにって叩くくせに、謙虚になるとブスを言い訳に逃げてるだけだなんて」
商人の言うように彼女を外見だけで評価する人間がいたのは事実だろう。
だが彼女を外見だけで判断をせず、外見を理由に責めることをしない人間がいたのもまた事実だろう。
しかし彼女には前者が世間の全てだと感ていたようだ。
コンプレックスというものにはそう感じさせてしまう力がある。
70 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:34:10.03 ID:66/q449p0
商「だから私何もかも嫌になって、家に篭りっきりになったわ。何もしないでただずっと世間を恨だ。全部世間が悪いんだって言い聞かせながら。どんどん落ち込んでいった。自分が大嫌いになった。
それで…私はもう死のうと思ったわ。そう、それで、このときの私にあんたが似てるなって思ったのよ」
俺「…うーん」
商「自分が何をやっても否定されてどんどん自信なくして。世間で評価されている人を妬んで恨んで、どんどん自分が醜い人間になっていく気がした。
外見も駄目で何の才能もない上に内面までそうなってしまって。自分が死ぬか世界が滅ぶか、自分が救われるにはそのどちらしかないと思ってた」
俺「…あー」
80 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:46:35.75 ID:66/q449p0
俺「でも…俺何もできないし」
商「何もできないでいいの。必要なものは旅の中で覚えればいいんだから。それにどうせ出て行かないといけないんでしょ?」
俺「うん、そうだけど…」
商「私も出て行かないといけないし、多分あの二人もここには居られないんじゃないかな。みんな何もできないけど、一緒にレベル上げていけばいいじゃない」
俺「でも、みんな怒ってるし多分もう一緒に行ってくれないよ」
商「そんなもん謝れば大丈夫よ」
俺「でも……」
商「いいから、ルイーダの店に来るのよ?いいわね!もうそれしかないんだから」
そういって商人は帰っていった。
82 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:47:49.48 ID:66/q449p0
俺がこの後ルイーダの店にいくのに5日かかった。
店にいくと僧侶に「よお村人A」と言われた。
俺は三人に謝った。
また一緒に旅に出て欲しいと伝えた。
今更、自分が困ったからって、自分勝手、それくらい言われることを覚悟した。
でも誰もそんなことは言わなかった。
僧侶はしょうがねえなと言い、遊び人はニコニコしており、商人は嬉しそうだった。
ルイーダさんも大喜びしてくれた。
自分が思っていた結末と全く違っていた。
自分がしたことでこんなに喜んでもらえるのは生まれて初めてだった。
俺はまた泣いた。
今度は嬉しくて。
83 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/02(土) 04:49:09.87 ID:66/q449p0
~その夜~
??「勇者さん…起きて…勇者さん…」
俺「…ん。ん?たかし…ちゃん?」
遊「勇者さんお願い、僕をガルナの塔へ連れていって」
俺「え?ガルナの塔?」
遊「うんそう。早くしないと僕消えちゃう」
俺「え?え?」
遊「勇者さん、お願い……あう…あうあwwおぎゃww」
俺「たかしちゃん?」
遊「うぃくwwうぃくwww」
俺「へ?」
http://kanasoku.blog82.fc2.com/blog-entry-18426.html
タグ:ドラクエ
PS3版モンスターハンターポータブル3rd HDverがかなり安いねッ! [ゲーム]
この機会に、PS3本体を買おうかなって気になってくるね・・・どうしようかなぁ?
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これが“寧々さんの味”かぁ。 [ゲーム]
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ラブプラス ねんどろいど 姉ヶ崎寧々 (ノンスケールABS&PVC塗装済み完成品)
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ミサイル君ですともッ! [ゲーム]
ご存知な方は、ご存知。
カプコンのゲーム、ゴーストトリックのミサイル君のモデル、ミサイル君。
ゲーム中のミサイルも可愛いが、本物は更に……グリグリしたひ☆
そんな、ニンテンドーDS用ソフトが、お買い得版となって再発売!
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- 出版社/メーカー: カプコン
- メディア: Video Game
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ゲームボーイアドバンス、逆転裁判シリーズの生みの親、巧舟の最新作。
私はこのソフトのためだけに、一度売ったニンテンドーDSを買い直した男ですともッ!
……その後ラブプラス+をプレイしたのは、ここを見た人以外、秘密です。
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